飴色の青春 2 キャンジャニ (ページ24)

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happening!!! ページ24

村子ちゃんと映画見て、村子ちゃんとコーヒー飲んで、村子ちゃんの春コートを探しに行く日

やったはずが…

村子「はい、亮、ちゃんと挨拶しーや。」

亮「…しど、りょうです。」

…そのオプションは聞いてへんねんけど？

共働きの村子ちゃん家のご両親、今日はお父さんが家にいる予定だったのが休日出勤になってしまったらしい。12歳って1人で家ですごせへん年齢やったっけとか意地悪な考えも浮かんでまうけど、いっつも優しい村子ちゃんが「ごめんなぁ」なんて眉を下げて言うのを見せられたら、文句なんて言える筈がない。

「別にええよ。」なんて。
いや良くないけどね。いつから約束してたと思ってんねんな。第一自分スタバで飲めるもんあるん？そんな風に村子ちゃんの後ろ隠れっぱなしで怖がって、サスペンスの映画見れるん？女の子の服選び楽しめるん？

…いや分かってる。忙しい両親と一緒に弟の面倒見て、部活と勉強も両立して、そんな忙しい村子ちゃんに無理言って来て貰ってんのは私。

アニメ映画になっても、31のイートインでも、プラモ売り場も、我慢とか言わへんよ。そんなん、あかんて分かってる。

だけどやっぱり

面白くない。

村子ちゃんはずっと亮くんに付きっきりやけど、楽しそうなんは見ててかわええからええねん。面白くないのはそうじゃなくて。

モールの通路を歩く時も、どっかに座っても、買い物をしてても、必ず私との間に村子ちゃんを挟んで、時々不安げな視線をちらりと寄越す少年。

まぁ怖いよね。お姉ちゃんより結構背ぇ高いし、無愛想やし、声低いし。好きでそうなってる訳でもないのにね。相容れないねんな。やから子供は苦手やねん…

そんな風に顔色伺わんでもとって食うたりせぇへんて。

モールを少しウロウロしてから、駅側のゲーセンに入った。
村子ちゃんがトイレに行ったので少し気まずい2人きり。無言で両替機で1000円札を100円玉に溶かして、少し小さな両手に包ませる。

「遠慮せんでええから、好きなゲームしたらええよ。私ここで村子ちゃんのこと待っとるから。」

できるだけ優しく言うたつもり。でも、笑顔にはならないで、ギュッと唇を結んだままこくんと頷くだけの少年。