飴色の青春 2 キャンジャニ (ページ15)

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中学の頃、男性の先生に丸が相談したことがある。しかしその相手は教師として最悪の対応をした。教師だけならまだしも、ろくな知識もないままの中坊相手に大勢に丸がゲイだと言いふらしたのだった。

案の定丸は孤立し、イジメすら始まった。
その時、俺は丸の味方だった。普通に仲良くしてたしなんも特別なことではなかった。まだ幼く、周囲の偏見の何がおかしいのかを言葉で説き伏せることが出来ず悔しい思いをしたけれど、それでも丸の味方でなくなる理由がなかったから俺はずっと丸のそばにいた。

ある時、丸に心無い言葉をぶつける相手がいた。腹が立って、思わず殴りかかった。喧嘩両成敗といいつつ先生も丸のことなんて大して考えてはくれない。しっかり怒られたあと、家で悔しくて泣いた。呼び出されて無言で頭を下げてくれたおかんが｢信五は間違ってへんよ｣と言ってくれたことが救いだった。

その日、丸から電話がかかってきた。丸は声を震わせながらありがとう、と言い、続けて言った。

｢信ちゃんは、僕にとってのヒーローやねん。悔しいねん。そんな信ちゃんに、謝らせてしまったんが、めっちゃ悔しい。もう庇わんでええよ。信ちゃんが優しいって僕が知ってればええよ。｣

その電話は、結果的に俺の背中を押した。どんなに丸を偏見で傷つける人がいたとしても、絶対に丸の味方でいる、どれほど怒られても正しくないことでは謝らない、間違っていると口に出す。そう決めたのだった。

孤立しても、理解されなくても、丸のヒーローでいれなくなることがいちばん辛いと思ったからだ。
正義の味方のつもりでいた訳では無い。だけど、その日から俺は、丸にとってのヒーローでいると決めた。

大人になり、昔ほど理不尽な目にあうことはなくなり、身を守るすべも身につけた丸やけど、それでもこうして泣きたくなる日がある。そんな時は、決まって俺に話してくれる。

恥ずかしくて、口にはしない。せやけど、俺を頼ってくれる限り、俺は丸のヒーローでいたい。

どんな形でもいい。この子の幸せを願っている。無力やけど、それまで何があってもそばで支えるから。