RAIN 45 ページ6
・
しばらく鳴り続く携帯電話を見つめる手越さん。
その顔はさっきまでニコニコしていたのとは反対で
悲しい顔なのか険しい顔なのか…
言葉ではなんともいえないような表情をしていた。
「…手越さん？」
私は耐え切れずに、手越さんの名前を呼ぶ。
私の声で気がついたのか、
手越さんは握っていた携帯電話を机に置いた。
すると携帯電話から音は鳴り止んだ。
手越さんは息を吸う。
そしてゆっくりと吐いた。
沈黙が続く。
『…ごめんね。なんか知らない番号だったみたい。』
手越さんて嘘つくの下手だなあ。
目が泳いでる。
「そう、ですか…。」
誰からだったんだろう…。
気になっちゃうよ…。
でも、そんなこと聞けるはずがない。
手越さんも聞いてほしくないはず。
手越さんは立ち上がって伸びをする。
そして力を抜いたあとに見せた表情は
何かを決意したかのように見えた。
そして振り向く。
いつもより少しぎこちない笑顔をしていた。
『ごめん、Aちゃん。俺、まっすーと仲直りしてくるわ。』
…さっきの着信は増田さんと何か関係があるのだろうか。
気になるが、仲直りをすることに悪いことはない。
「はい。」
頷くことしかしないよ、私は。
それしかできることないもんね。
『ん。ありがとう。帰るとき、家に電話するから、出てくれる？』
手越さんはリビングにある固定電話機を指差す。
「わかりました。仲直り、できるといいですねっ」
私は、手越さんに笑顔を向ける。
『うん。がんばってくるから。』
そう言いながら、またあの手で頭をなでてくれる。
嬉しいはずなのに、なぜか切なかった。
・
私は玄関までいく。
手越しさんもファーつきの温かそうなコートを羽織っていた。
手越さんが靴を履くのを見届ける。
『ごめんね、いきなり。』
「いえ。仲直りは早いのが一番ですよ！」
…どの口が言っているのだろう。
状況は違えど、私が言える言葉ではないのに。
『そうだよね。じゃあ、気楽に過ごしてていいからね。』
「わかりました！じゃあ、お気をつけて」
『行ってきます。』
手越さんはドアを開け、寒い外へと出て行ってしまった。
…またひとり。
わがままな私は、また寂しいと感じる。
手越さんは帰ってくるのに。
私は、来た道を戻る。
トボトボとリビングへと向かった。
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伊籐 麻貴(プロフ) - うさにゃんさん» 更新、お待たせいたしました！気長に更新待って頂けると嬉しいです！頑張ります！ (2017年11月20日 7時) (
レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
うさにゃん(プロフ) - 更新お疲れ様です！まっすーともいい感じに距離が縮まってきて、祐也とどうなっていくのかもますます楽しみになってきた！！！忙しい中で大変ですが頑張ってくださいね！楽しみに待ってます！！ (2017年11月20日 2時) (レス) id: 6e86b0da45 (このIDを非表示/違反報告)
伊籐 麻貴(プロフ) - あんこさん» あんこさん、ありがとうございます！！是非、最後まで読んでいって下さい！ (2017年11月10日 0時) (レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - 確かに書きやすいかもしれませんね笑（私は書いたことがないのでわかりませんが…）麻貴さん、これからも、私と雨と彼。更新楽しみにしてます！！ (2017年11月9日 22時) (レス) id: 445aca569f (このIDを非表示/違反報告)
伊籐 麻貴(プロフ) - あんこさん» 私もどっちも好きですが、赤の方が個性が出てて小説では書きやすいですね笑 はい！是非そう読んでください！ ありがとうございます！！ (2017年11月8日 16時) (レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊籐 麻貴 | 作成日時：2017年10月21日 22時
