RAIN 63 ページ23
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開いた口を押さえたときには
目の前にいる手越さんは目を見開いていた。
手越さんは私の言葉を理解できていない様子だった。
『見たの？』
「えっと…」
手越さんは頭の整理がつくと、形相を変える。
『きゃっ』
私を力いっぱい押しのけ、寝室へと向かっていく。
私はポケットの中に入っている鍵を服の上から握りながら
手越さんの後姿を追うことしかできない。
ｶﾞｼｬﾝ、ｶﾞｼｬﾝと物が倒れる音。
ああ。
手越さんはこの鍵を探しているんだ…。
そう思うと、取り返しのつかないことをしてしまったと後悔する。
『なんでないんだよｯ!!!!』
手越さんは怒鳴り声をばら撒く。
怖い。
私は手越さんを初めてそう感じた。
すると、手越さんはﾌﾗﾌﾗしながら現れる。
その姿は、まるで鬼のようだった。
乱れた前髪から覗く私を見る目は、どこか赤く光っているようにも見える。
「手越さ…」
私は彼の名前を口にすることしかできない。
『鍵は？』
手越さんは右手を私に差し伸べた。
とてもとても低い声。
私はどうしたらいいのか分からなくなってしまう。
『か、鍵…ごめん、なさっ……』
私は震える手でポケットから鍵を取り出す。
手越さんはさらに目を光らせた。
その目を見て、本能的に感じてしまったのかもしれない。
逃げないと。って。
私は、急いで鍵をテーブルに置いた。
手越さんは鍵を求めてテーブルへと飛び込んだ。
その隙を見て、寝室においてある制服だけを手に掴み、
怖いからか手越さんを一切見ずに急いで玄関へと向かう。
向かう途中には当然、あの部屋があって。
私は、恐ろしくて視界にいれるのまで怖がった。
ｶﾞﾁｬ!
私は凍えるような外へと裸足で駆け出す。
靴も履く暇がないほど、無我夢中であの日のように雨の中を走り出す。
手越さん…。
走りながら、少ない思い出を思い出す。
でもその最後には、あの光った目が良い思い出をかき消していった。
あんなに焦っていた手越さん。
シズクさんのこと、まだ好きなんだな。
「…っ」
ｸﾞｼｬｱ！
小石に躓き水溜りに転んでしまう。
私が鍵を見つけなければ…。
今もまだ手越さんのそばにいられたのに。
私はﾋﾘﾋﾘと痛む体を起こす。
馬鹿だな、本当。
そう思うと涙が出てくる。
自分の好奇心を恨んだそのときだった。
『なにやってんの。』
ひとつの影が前からやってきた。
それは赤髪の…
『増田さん…』
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伊籐 麻貴(プロフ) - うさにゃんさん» 更新、お待たせいたしました！気長に更新待って頂けると嬉しいです！頑張ります！ (2017年11月20日 7時) (
レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
うさにゃん(プロフ) - 更新お疲れ様です！まっすーともいい感じに距離が縮まってきて、祐也とどうなっていくのかもますます楽しみになってきた！！！忙しい中で大変ですが頑張ってくださいね！楽しみに待ってます！！ (2017年11月20日 2時) (レス) id: 6e86b0da45 (このIDを非表示/違反報告)
伊籐 麻貴(プロフ) - あんこさん» あんこさん、ありがとうございます！！是非、最後まで読んでいって下さい！ (2017年11月10日 0時) (レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - 確かに書きやすいかもしれませんね笑（私は書いたことがないのでわかりませんが…）麻貴さん、これからも、私と雨と彼。更新楽しみにしてます！！ (2017年11月9日 22時) (レス) id: 445aca569f (このIDを非表示/違反報告)
伊籐 麻貴(プロフ) - あんこさん» 私もどっちも好きですが、赤の方が個性が出てて小説では書きやすいですね笑 はい！是非そう読んでください！ ありがとうございます！！ (2017年11月8日 16時) (レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊籐 麻貴 | 作成日時：2017年10月21日 22時
