RAIN 53 ページ14
Y.T side
.
『手、痛む？』
シゲに持って来てもらった氷で手を冷やす。
「ちょっと、ヒリヒリするけど、大丈夫…。」
『そう…。動揺した？』
この場に及んでもその話かよ。
「…確かにあの部屋はあるよ。」
あの部屋。
家出したシズクが使っていた部屋だ。
俺は高校生になってすぐ一人暮らしした。
親がどうせならって言って、広いマンションを買ってくれた。
でも、1人ではあの家はでかい。
家賃は親が払ってくれていたが、
正直、小さいところでよかった。
今思えば。
『手越は女の子好きだからねー』
小さい家だったら、きっとシズクと一緒に暮らしてない。
「…。」
『そういえば、Aちゃんも家出だってね？』
…そこまで似てるなんて。
「…気づかなかったな。俺。重ねてたなんて。」
本当に重ねてる？
それはわからない。けど…
『まぁ、手越が今、どう思ってるかじゃない？』
そりゃ、もちろん…
「好き、だよ」
Aちゃんとシズクは違う。
そう。
違う人間だ。
『違うよ。黒瀬のこと。』
え、シズクのこと？
「え、シズク？…今は別に…」
なんとも思ってない。
だって、別れ方なんて最悪だった。
…なのに
『黒瀬はどうなんだろうね。今更電話なんて。』
なんで電話なんて…
「わかんない。」
それしか出てこない。
もし、あいつが俺とやり直したいって言ったら？
俺は…
…
やり直さないよ。
だって、俺には好きな子がいるんだもん。
Aちゃんが。
「俺は…シズクと重ねてるかもしれないからって、Aちゃんの見る目は変わらない。」
俺はまっすーを見つめ言う。
すると、ふーん…と頷くまっすー。
『あとさ』
『黒瀬と重ねてなくても、この先後悔するかもよ？Aちゃんとこのままいても。』
やめてよ。
「なんでそういうことしか言わないわけ？」
まっすー、おかしい。
『なんでって…本当のことだから。』
「今日、おかしいよ。まっすー。」
そういうと、目を見開いた。
『…ごめん。』
まっすーは俯く。
「そんなにまっすーはAちゃんが欲しいの？」
俺は思ってもない言葉を口から出す。
『そんなこと言ってないだろ』
そこから続く沈黙。
「…今日は帰ろ。もう。」
『…うん。』
俺らは荷物をもって個室を出た。
はやく家に帰って、Aちゃんに会いたかった。
笑顔で迎えてくれると、そう思っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NEWS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊籐 麻貴(プロフ) - うさにゃんさん» 更新、お待たせいたしました！気長に更新待って頂けると嬉しいです！頑張ります！ (2017年11月20日 7時) (
レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
うさにゃん(プロフ) - 更新お疲れ様です！まっすーともいい感じに距離が縮まってきて、祐也とどうなっていくのかもますます楽しみになってきた！！！忙しい中で大変ですが頑張ってくださいね！楽しみに待ってます！！ (2017年11月20日 2時) (レス) id: 6e86b0da45 (このIDを非表示/違反報告)
伊籐 麻貴(プロフ) - あんこさん» あんこさん、ありがとうございます！！是非、最後まで読んでいって下さい！ (2017年11月10日 0時) (レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - 確かに書きやすいかもしれませんね笑（私は書いたことがないのでわかりませんが…）麻貴さん、これからも、私と雨と彼。更新楽しみにしてます！！ (2017年11月9日 22時) (レス) id: 445aca569f (このIDを非表示/違反報告)
伊籐 麻貴(プロフ) - あんこさん» 私もどっちも好きですが、赤の方が個性が出てて小説では書きやすいですね笑 はい！是非そう読んでください！ ありがとうございます！！ (2017年11月8日 16時) (レス) id: 0ee790ef75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊籐 麻貴 | 作成日時：2017年10月21日 22時
