#78 MINA ページ29
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チャンスは一度しかない。
うまくいくかなんてわからない。
だけど私にできることはこれしかない。
あの子のために。
やるしかない。
揃いも揃って綺麗な顔が次々通り過ぎていく。
同時に人の波も移動する。
流されないように、彼を見失わないように。
必死で堪えた。
若い女の子たちばっかりなのにどこにこんな力があるんだろうってくらいの圧。
まだ明るくなったばかりの時間だというのに。一体何時からここにいるんだろう。
何がそうさせるのかって、やっぱり彼らを好きだという気持ちなんだろうなあなんて。
あらためて思った。
違う世界の人たちだって。
だけど、それが私の大事な、Aの大事な人がいる世界。
Aが守りたかった、彼の世界。
その距離あと、残り数メートル。
緊張で汗が滲む。心臓がどうにかなりそう。
お願い。上手くいって。
息をすぅっと吸い込んだ。
「キムジュンミョン！」
周りの女の子たちが一斉に振り向いた。
何この人？って表情。ごもっともだわ。だけど構わない。
彼も振り向いたけど、他のメンバーも何事かとチラチラ見ている。
というより完全にヤバイ、警備の人がこちらに向かってくる。
『おい、お前…』
ガッチリ体型のいかにも強そうな強面の大男。
怖すぎる。足が震えそうになって、思わず後ずさりしようとしたその時、
彼の目がまん丸に開いて、大男の動きを止めた。
そして、その代わりにこちらに向かってきたのは彼だった。
ファンのどよめきが大きくなる。
あちこちで彼の名前を呼ぶ声がする。
マネージャーらしき人やたくさんいる警備の人がそれを収束させようと動いていた。
「…ミナさん、ですよね？なんで、ここに…」
その騒ぎの中、彼の控えめな声。
できるだけ平然を装った、困惑と驚きの表情。
“スホ”の中の“ジュンミョン”が見えた。
誰にも聞かれないように、彼にだけ届くように祈って。
「…8：20発の、羽田行き」
「え？」
「行って。お願い」
それだけ伝えるのが精いっぱいだった。
あっという間にタイムリミット。私も彼もそこにいられることはできなくなった。
引きずられるように連れていかれる彼の背中。そして私ももう限界。
けれど、きっと届いたはず。
あとは本人たち次第。
A。
私の餞別、受け取ってね。
大好きよ。離れていても。どこにいても。
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塩飴 - やっぱり、アイドル...恋愛もしてるのかなと少し切なくなりましたがとてもいい作品でした。少しえちちな場面もあってもうキュンキュンでした...笑ヒヤヒヤしたけど最後はミナちゃんも主もくっつけて良かった。お疲れ様でした。2年後の返信許してください (2020年9月7日 7時) (
レス) id: 02fac824d9 (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - あやテテさん» あやテテさま。今更のお返事お許しください。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます。。もったいない言葉ばかりいただいてしまい、身の締まる思いです。こちらこそ本当にありがとうございました；； (2018年12月15日 22時) (レス) id: ca58cfca1e (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - あるのかなと、考えさせられました。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年11月19日 3時) (レス) id: 999741949f (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - 今まで読んできた全ての物語の中で文句なしのダントツ一位です。こんなに綺麗な作品を読んだことがありません。ﾏﾝﾈ二人が凄く良い立場で、絶妙に作品を引き立てて最高でした！ｱｲﾄﾞﾙの恋愛って実際は凄く辛いけど、何だかﾌｧﾝがｱｲﾄﾞﾙを苦しめちゃうことも (2018年11月19日 3時) (レス) id: 999741949f (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - はるるさん» はるるさんありがとうございます。ラストをこれでいいのかたくさん悩んだので素敵だといっていただけてとっても嬉しいです。なんと！アフターストーリーですか；；嬉しすぎて泣いちゃいます。。ぜひぜひ機会があれば書かせていただきたいです。ありがとうございます；； (2018年2月22日 16時) (レス) id: e45fc58aae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ame
| 作成日時：2017年3月11日 2時
