#50 YOU ページ1
.
「…っジュンミョン」
こういう時最初から最後まで、壊れ物を扱うように優しく触れてくれるはずのジュンミョン。
『おいで』
『手繋ごう』
『気持ちいい？』
いつもなら、
目と目を合わせて、微笑み合って。
私の髪を梳いて、頬を包んで。
甘いキスをいくつも落として。
初めてのときからこれまでずっと、
いつだって変わらずに優しかったジュンミョン。
それなのに今、私の上で眉間に皺を寄せる彼からは余裕なんて少しも感じられない。
彼の額に滲んでいた汗がポタッ…と垂れた。
「ジュンミョン…っ、」
「…っ、A、A…っ…」
私の声なんてまるで聞こえてないみたいに、夢中になって求め続けた。
─別れの言葉を告げた後。
鳴り止まない電話に仕方なく出たジュンミョンは「お願いです。あと一時間だけ下さい」と見えない電話の相手に頭を下げて…
そして私を引き寄せて低い声で囁いた。
「抱きたい」と。
・
・
「A…っ」
首筋に噛み付かれて、強く吸い付かれて。ヒリヒリと痛くてたまらないのに。それでも彼から与えられる刺激はどうしてこんなに甘いと感じてしまうんだろう。
「ジュンミョン、やだっ…」
その答えは考えるまでもなかった。
どうしたってまだ彼のことが好きだから。
だから、こんなの、嫌だよ。ジュンミョン。
身体を捩ると頭の上で手を押さえつけられて、至るところに紅い痕をいくつも残していく。
まるで私に刻み込むように。
「そんなに、つけないで、やだ、」
切なすぎて涙が出そう。
だって、私たちこれでもう終わるんだよ。
ジュンミョンがいなくなったあと、どんな気持ちでこれが消えるのを待てばいいの？
今までのように次に会う時までのお守りになんてなってくれないんだよ。
「やめて…っ…ジュンミョン…っ…ふ……」
堪えきれずに溢れた涙。
ジュンミョンの動きが止まる。
「………A……」
ジュンミョンの手が目元に伸びてくる。
あんなに荒々しかったのに、涙を拭う指先はとても優しくて。いつものジュンミョンみたいで。
「ごめんな…ごめん。ごめん…」
深く口付けられて抱きすくめられて。
達する瞬間、ジュンミョンの目からも涙が零れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1243人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
塩飴 - やっぱり、アイドル...恋愛もしてるのかなと少し切なくなりましたがとてもいい作品でした。少しえちちな場面もあってもうキュンキュンでした...笑ヒヤヒヤしたけど最後はミナちゃんも主もくっつけて良かった。お疲れ様でした。2年後の返信許してください (2020年9月7日 7時) (
レス) id: 02fac824d9 (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - あやテテさん» あやテテさま。今更のお返事お許しください。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます。。もったいない言葉ばかりいただいてしまい、身の締まる思いです。こちらこそ本当にありがとうございました；； (2018年12月15日 22時) (レス) id: ca58cfca1e (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - あるのかなと、考えさせられました。素敵な作品をありがとうございました。 (2018年11月19日 3時) (レス) id: 999741949f (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - 今まで読んできた全ての物語の中で文句なしのダントツ一位です。こんなに綺麗な作品を読んだことがありません。ﾏﾝﾈ二人が凄く良い立場で、絶妙に作品を引き立てて最高でした！ｱｲﾄﾞﾙの恋愛って実際は凄く辛いけど、何だかﾌｧﾝがｱｲﾄﾞﾙを苦しめちゃうことも (2018年11月19日 3時) (レス) id: 999741949f (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - はるるさん» はるるさんありがとうございます。ラストをこれでいいのかたくさん悩んだので素敵だといっていただけてとっても嬉しいです。なんと！アフターストーリーですか；；嬉しすぎて泣いちゃいます。。ぜひぜひ機会があれば書かせていただきたいです。ありがとうございます；； (2018年2月22日 16時) (レス) id: e45fc58aae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ame
| 作成日時：2017年3月11日 2時
