6 ページ36
.
「……ん…ジュンミョン？おかえり」
僕がアザラシと睨み対決をしていると、うっすらと目を開けて身体を起こすA。
寝起きの無防備な顔が可愛い。
「ただいま、A。ごめんな。お待たせ」
アザラシをポイッと投げ捨てて、彼女をギュッと抱きしめる。
「……ヤキモチ？」
「そう。むかつく顔してた」
「ジュンミョンに似てるのに」
くすくすと笑い声が聞こえる。
僕だと思って抱きしめてたの？それなら…まあ、許してやる。
「仕事、もう大丈夫なの？」
「うんバッチリ。一刻も早くAのところに帰らなくちゃって思ったら力が出た」
きっと物凄い形相だったはず。
後輩達、ちょっと引いてたもんな。
「ジュンミョン汗かいてる」
「エレベーター待つのももどかしくて走ってきた」
「もう…そんなに急がなくていいのに」
柔らかく微笑んで僕の額に浮かぶ汗を拭いてくれる。こんなところ、もしもさっきの後輩達が見たら驚くだろうな。
一応、頼れるキムジュンミョン先輩、で通ってるはずだし。
心地よい指の感触に、胸がくすぐったい。
「ジュンミョン、ありがとう。この部屋…」
「ハハ、驚いた？」
「驚くよ…いつ片付けたの？」
「あ、そっち？」
「ふふ、冗談。すごく素敵」
「本当は一緒に帰ってきてAの喜ぶ顔が見たかったんだけど…ごめんな」
「ううん、嬉しかった。本当に。ありがとう」
僕の腕の中から顔を上げて僕を見てにっこり笑う。なんか、とことん彼女の優しさに甘えきってる気がする。情けない。
だからちょっとだけでも、挽回させて。
「A、目瞑って」
「え？なに？」
「いいから。いいって言うまで開けないで」
「もう、なによぅ」
手で目元を覆うと仕方なしに伏せられる睫毛。
Aをそこに残したまま、廊下に置いてきた"アレ"を持って。
ソファに座る彼女の前に跪く。
「開けていいよ」
「わ…」
「誕生日おめでとう。A」
歳の数だけ包んでもらった薔薇の花束。
去年よりもその前よりも。１本ずつ増えて、少し大きくなった。
それと同じだけ僕の彼女への想いも大きくなってる。
「…ありがとう」
花に顔を近付けて、くんくんと香って。
嬉しそうに僕を見る彼女の笑顔は、手元の花束よりも何倍も綺麗に咲いている。
その笑顔を、この先もずっと見たい。
「これからもこうやって毎年１本ずつ増えていったらいつか両手でも抱えきれなくなるな。アハハ」
頭に浮かんだことをそのまま口にした。
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2054人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ame(プロフ) - chicaさん» ちかちゃん＼(^o^)／こっちにまでありがとう！嬉しい〜！パステルカラーとかいってくれるちかちゃんきゃわわ(;_;)幸せ幸せ、、ほわほわぱふぱふ(言い方)べったーで楽しんでね(ハート)いつもありがとう。だいすき！ (2017年1月17日 22時) (
レス) id: c7ff18eb8d (このIDを非表示/違反報告)
chica(プロフ) - ひさしぶりにこのお話読んだあ(´；ω；｀)ふわふわ気持ちいいやさしいかわいい。前に話したパステルカラー！かわいい。続きべったーに移動してくるね！ (2017年1月16日 19時) (レス) id: ba75c04a84 (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - noritaさん» のりたさーん(ハートハート)こちらにまでありがとうございます(T.T)お仕事大変だったのですね。。お疲れ様です(*^^)ﾉ(^^*)ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ… 少しでものりたさんのお役に立てたならとっても幸せです。いつも頑張ってるのりたさん〜とっても素敵です。私もだいすき >.< (2016年12月28日 9時) (レス) id: c7ff18eb8d (このIDを非表示/違反報告)
norita(プロフ) - いいなぁこんなヨリ…今日は仕事が鬼忙し飼ったのでもうヘトヘトで…(´；ω；`)あめしゃんのお話読んで癒されました。ありがとう！大好き(*´∀｀*) (2016年12月26日 20時) (レス) id: aabcc6a11b (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - nagiさん» なぎたんこっちにまでありがとう！(;o;)私こんなに聞き分けいい子じゃないけどジュンミョンのためならこれくらい尽くせる….今年の誕生日はなぎにもジュンミョンにも祝ってもらえて幸せな誕生日だったわ。。ありがとう(ハートハート)だいすきようちゅちゅ。 (2016年11月20日 17時) (レス) id: c7ff18eb8d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ame
| 作成日時：2016年5月22日 17時
