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キッチンに入ると、ヌナはデザートに出すつもりなのかリンゴを剥いていた。
でもその手はパタリと止まっていて。僕がキッチンに入ってきたことにも気が付いていない。
「ヌナ」
僕が声をかけるとハッとして止まっていた手を動した。
「！…痛っ…」
「？！ヌナ、大丈夫？！」
まな板にリンゴが転がる音がして慌てて駆け寄ると、ヌナの指先から血が出ている。
「…大丈夫。少し切っただけ…」
「救急箱持ってくる。止血してて」
すぐにヌナを椅子に座らせて、傷の手当をした。
「…はい。もう大丈夫」
「…ありがとう、ギョンス」
指先を見つめたまま、弱々しく呟く。
僕らの間には沈黙が流れて、お風呂からは微かに賑やかな声が聞こえていた。
絆創膏を巻いているときに思った。ヌナの手ってこんなに小さかったっけ。
「ねぇ、ヌナ。子供の頃はヌナがこうやってよく僕の手当してくれたよね」
ヌナは子供の頃から優しくて、僕の面倒をよく見てくれていた。まだヌナの方が背も高くて、手も大きかったあの頃。
「…ギョンスはね、私が絆創膏貼ってあげるだけで泣き止んだんだよ」
懐かしそうに昔の話をすると、ヌナの表情が和らいだ。
守ってくれていた人が守りたい人になった。いつのまにか自分よりも小さくなったこの手を…この肩を守りたかった。
ただそれだけだった。
「…ヌナ。僕、縛られてるなんて思ったことないよ」
そう言うと、やっとヌナがこっちを見た。
何か言いたそうに口を開きかけるけど、僕は構わずに言葉を続けた。
「ヌナのために僕に出来ることがあるのは嬉しかったし、ジョンインの成長を見ていられるのだってすごく幸せなんだ」
これは僕の本心。
自分の子供ではないけど、産まれた時から…ううん、産まれる前…ヌナのお腹にいる時からずっとジョンインを見てきたんだ。
子供の成長って、本当にワクワクするんだよ。
この気持ちは何にも代え難い。
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まま - お、お子さんできたのか...(想像しちゃう)結婚式のシーンも見て見たかったなぁ。お疲れ様です、文章力すごい。楽しかった (2020年9月18日 21時) (
レス) id: 54f59f67c1 (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - ぽんさん» ぽんさん＊コメントありがとうございます。お返事が遅くなって大変申し訳ありません；；とっても嬉しいです。。このお話のスピンオフなどをツイッターで公開してるのでお時間があるときにでも覗いてみてくださいね。本当にありがとうございました＾＾ (2017年10月7日 21時) (レス) id: e45fc58aae (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - はじめまして。イッキに読みました。お気に入りにして、また読み返してます。凄く感動して涙が溢れてきました。これからも頑張って下さい。 (2017年6月11日 23時) (レス) id: a4e9c02f4b (このIDを非表示/違反報告)
ame(プロフ) - ぱくつかさん» ぱくつかさん！コメントありがとうございます。わー！こんなに長ったらしいものを一気にだなんて…！ありがとうございます。、キュンキュンしてもじゃもじゃいただけて嬉しいです…!これからも頑張ります！ありがとうございます。 (2017年3月31日 6時) (レス) id: c7ff18eb8d (このIDを非表示/違反報告)
ぱくつか(プロフ) - こんにちは！昨日から今日にかけて一気に読ませていただきました！とってもキュンキュンで涙が止まりませんでした（ ; ; ）これからも頑張って下さい！！ (2017年3月25日 16時) (レス) id: f548d24e62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ame
| 作成日時：2015年10月15日 20時
