�� ページ15
青 side
「信ちゃん、ホンマ大丈夫？しんどいちゃうん？」
「しんどくはないで？」
そう答えるけど、表情は顔の上に乗せられた本の表紙によって隠されたままで。
「ほしたら、どないしたん？」
「ん〜、せやなぁ…」
おれは言い澱む、信ちゃんの言葉を待った。
「まぁ、なんて言うか…」
「うん」
「コレ言うたら…オレらしく無いんやろけど」
「言い難いん？それやったら…」
歯切れの悪い信ちゃん。
沈黙が、おれたちを包む。
そんな時は、もう何も聞かない方が良いのかな…。
そう思い始めた頃、また信ちゃんが言葉を繋いだ。
「取越し苦労っちゅーか」
「…うん」
「なんちゅーか」
「うんうん」
「ぼんやりした不安と言うか」
「…それ、芥川龍之介の遺書やん、あかんやん」
「ぉ、お前、学あるな」
そう言うと、信ちゃんは、この話は終わり、とでも言わんばかりに顔の上に乗せた本を下ろし、ニカッと笑って見せた。
…なんか、痛々しいな。
そう思って信ちゃんの目を覗き込んでも…よく、判らない。
「…まぁ、そう言うことやねん。折角聞いてくれてるのに、ごめんな？」
「ええで。ええねんけど、ホンマ一回ご飯食べ行こか。ゆっくり話ししたいし」
「お、ヤスからのお誘いか。嬉しいなぁ〜」
そう言うと、信ちゃんはおれの後頭部に手をかけて、引き寄せた。
見下ろして、ぶつかる茶色の垂れ目はすっかりいつもの色に戻ってるけど。
もしも…不安に揺れてるのなら、いっつも助けて貰ってばっかりやから、たまには助けたい。
「おはようございます〜って、ゴリラとチンパンジー、今日はえらい仲ええなぁ」
そう言って控え室に入って来たのは我らがメインボーカル、美声の野獣。
「誰がゴリラじゃ！」
「しぶやん、非道いー！」
「お前らしかおらんねんから、お前らのことやろ！おっ始められたら困るから、入って来てんやんけ！」
「せーへんわ！」
「せーへんし！ってか、どっから聞いてたんな」
「…芥川龍之介ぐらいから」
「敵わんわ、お前には」
「年の功や、年の功。頑張れよ、お前ら」
そう言ってしぶやんはおれの頭を押さえつけて…信ちゃんの顔の上に下ろした。
「「☆♪→$〜！」」
おれと信ちゃんの、声にならない悲鳴が…控え室に響き渡った。
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蒼乃碧(プロフ) - mimiajioveさん» コメントありがとうございました！ようやく移行完了でございます！良かったらまた読んでやってくださいませm(__)m (2018年7月19日 15時) (
レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
mimiajiove(プロフ) - シヨウヨ2楽しみです！頑張ってください！ (2018年7月11日 2時) (レス) id: 15ac791737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼乃碧 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月3日 8時
