ドリームアイランドにいらっしゃい (ページ7)

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赤家の朝ページ7

俺の朝は仕事柄早い。

まぁ、この仕事してなくても、朝型やと思うけど。

軽トラでまだ、町中が夢を見ている、文字通りの『ドリームアイランド』を後にして、卸売市場に向かい、買い付けして店に戻る。

数年前からある人のアドバイスで、店頭販売を少し減らしてるから、朝の作業も減って、そのお陰で朝ご飯を家族と取れるようになった。

我が家の家族は、銀行員の次男、大学生の三男、高校生の四男の四人。

意識的に朝にでも揃って飯でも食うようにせな、顔を合わさないまま１日が過ぎてしまう。

皆んな大人になって…次男の転勤、三男の卒業、四男の進路によっては、皆んな揃って家を出ることになりそうやしな。

そう思うと、味噌汁と干物だけの朝ご飯も、五臓六腑に染み渡るほど美味い。

食後は食洗機が、洗濯はそれぞれのタイミングで、誰かが回して干してくれる。

今日は三男の大吾がもう干してくれてたみたいや。

保育実習で使ったらしい可愛いエプロンが数枚、むさ苦しい男所帯の洗濯物の中ではためいてるw

「ほな」

今日も次男の誠也が銀行員というカタイ仕事の割にはチャラい車で、弟二人を送ってくれる。

「おぅ、いってらっしゃい」

「「「行って来ます」」」

兄弟が育つと家族って言うより、チームみたいになって来た。

…オトンとオカンに見せたげたかったな、なんて。

「魚屋さん」

店先で感慨に耽ってぼんやりしてたら、誰かに声をかけられた。

「イラッシャイ！」

「その節は色々お世話になりまして」

おっとりとしたイントネーションは、銭湯の長男さんや。

けどモノの言い方とは裏腹に、長いこと町の外で暮らしたはったらしく、いつもちょっと奇抜なカッコしたはる。

垢抜けてる、っていうのとはまた違って…婀娜(あだ)っぽい、っていうかシロウトっぽくないっていうか。

「こっちこそ！またご贔屓に！」

「うちにもまた寄ったってね」

ヒラヒラと手を振って、歩いていかはった。

…お散歩かな？と思いきや、誠也と似た通ったかなチャラい車が停まって、あっという間に乗り込んでどっか行ってもた。

あの車、どっかで…誰やっけかな。