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黒家の朝 ページ2

「ケータイ、あらへん、財布もあらへん、ケータイ、ケータイ、ケータイ、財布、財布、財布」

朝から自作の歌『遺失物』を歌うのはオレですけども。

今年40になりまして、一人暮らしもベテランの域です。

流石に『失くしたらあかんもん入れ』を作っておく習慣も出来まして…けど、おまへんねん、オレのケータイと財布。

「ケッタイやなぁ、ホンマに」

こんなに綺麗に失くなるやなんて、随分久しぶりですわ。

幸い、今日は土曜日。

仕事は休みやから、時間せかへんし、ちょっとの間は無くても困りはせーへんけど、それでもやっぱり落ち着きまへん。

…ちょっと、昨日の記憶をたどってみましょか。

えーと、昨日はプレミアムフライデーやったから、久しぶりに…と、昨夜の行動を思い返していたら

たらららららー、たららららー♪

とインターフォンが鳴った。

誰やろ、休みの日の朝から。

「はーいー」

玄関開けると、そこには

「おはよーさん」

幼馴染のヒナが立って居た。

「なんや、ヒナか。朝も早よから、どないしたんや?」

「どないもこないも。アンタの忘れもん、届けに来たんやがな」

オレの面前に、財布とスマホの入ったナイロン袋を突きつけた。

「え?!」

なんや、ヒナの店に忘れとったんか!

「はいコレ。大事にせな、買い替えるにしても高くつくやろ?それと」

いい匂いのする包みを二つ、顔の横に持ち上げると

「朝飯。せっかく来たから、一緒に食べよ思て」

「…ありがとぉな」

言うた方も言われた方も、顔は赤い。

招き入れて、テーブルに着く。

キッチンで手を洗うヒナが、なんかモゴモゴ言うてる。

何十年の付き合いやけど、何でか、オレらはこんな感じ。

オレはヒナんことが好きやし、多分ヒナも…。

けど。

多分の域を超えられへん。

紫家の早朝→←作者より



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蒼乃碧(プロフ) - ありえへんコンビの嫁さん» コメントありがとうございますm(__)m頑張ります! (2021年10月8日 23時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
ありえへんコンビの嫁(プロフ) - 更新頑張ってください! (2021年10月8日 20時) (レス) @page4 id: 39f9ce47b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼乃碧 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年10月6日 1時

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