�� ページ10
緑 side
しばらくの間、俺は個人の仕事が続いた。
ヤスだけで無く、他のメンバーにも会わない仕事ばかり。
それなりの緊張感を伴い、タイトなスケジュールにぐったりと疲れる日々。
ようやく、その仕事が終わり、久しぶりにメンバーとの現場。
入りも遅いから、ゆっくりと起きて、現場に向かった。
楽屋に入ると、昴くんはマルちゃんにもたれかかって寝てて、マルちゃんは、そんな昴くんを起こさないように、珍しく静かに、りょうちゃんと話をしてる。
横山くんは、眠そうな顔をして、何か資料を読んでる。
見慣れた楽屋の風景。
だけど…その日はその中に、ヤスと信ちゃんだけ居なかった。
「あれ、今日信ちゃんとヤスは？」
誰に聞くとも無く呟くと、
「ヒナは遅れるって。ヤスは上がり」
横山くんが眠そうな顔を上げて、答えてくれた。
そうか…ヤスは居ないのか。
いつから逢って無かったっけ？
あの仕事の始まる前からやから…あの夜からや。
たった10日ほどなのに、一ヶ月ぐらいヤスに逢ってない気分だった。
ヤスに逢いたいな…そう言えばあの夜、ヤス、めっちゃ泣いてたな。
泣いた顔も可愛いかったけど…何か可哀想やった。
そやから俺もなんかしんどなってしもて…。
そうか。
せやけど、なんぼなんでも…電話ぐらい、したら良かった…。
「おい、おーくら」
「何、りょうちゃん」
「ちょっとお前に話、あんねんけどな」
「ええで。横山くん、ちょっと外すけど、ええやろ？」
「ヒナ待ちやから時間はええけど…何かあったんか？」
「何もないよう〜♪」
わざとらしいりょうちゃんの声に昴くんが目を開けた。
そして、俺らをちょっと見て、また目を閉じた。
「昴くんが休まれへんから、早よ出て行けや」
マルちゃんの声に軽く手を上げて答えた俺たちは楽屋を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼乃碧 | 作成日時：2017年8月10日 2時
