キミイロオモイ (ページ14)

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⑭ ページ14

緑 side

彼氏、か。

そんなん…考えたこと無かったな…。

俺は、タバコに火をつけた。

だってさ。

あの二人の間には、俺が入った頃にはもう既に、誰にも入り込めないもんが在ったから。

だけど、そのカタチが、何でだかお互いの成長とともに少しずつ変わってしまったりするのは、誰にもどうしようも出来ないことらしく。

だけど、それを止めようとして、傷ついて泣いてるヤスを、どういう巡り合わせでか、何回か見たことがあった。

詳しいコトは、もちろん誰にも判らないけど。

周りが気がついた頃には、二人は、誰にもどうしようもないようになってた。

もちろん俺も…俺だって、普通に女の子と付き合ってたりして、ずっとヤスを見てた訳ではなかったから。

それでも、あの手紙を読んだ夜、何でだか俺はヤスのそばにいて、時代遅れの古い携帯をぶっ壊してるのを見てた。

「ヤス、そんなんしたらあかん」

「…おーくら…おれ」

「手ぇ、痛いやろ？」

「…公私混同で、サイテーや…」

「ヤス…」

「せやから、嫌われた…」

「…そうか…」

タバコが灰になり、ほろん、と崩れ、現実に帰る。

思い出すと、胸が痛む。

今でも、敵うなんて思ったことは無い。

未だに、叶うなんて、思ったことは無い。

だけど…あんなヤスは、もう見たく無い。

その気持ちだけは、あの時と同じ。