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青 side
「せやけど、ホンマにええんか？」
信ちゃんの運転する車は、結局どこにも寄らずに信ちゃんの次の現場に向かっている。
「うん、ええで」
「…けど…」
だって、これ以上おれの個人的な事で迷惑かけるわけにはいかへん。
「ええって、ホンマに」
そう言って笑顔を作ると、
「信ちゃん、今夜はホンマに話聞いてくれてありがとう」
お礼を言った。
それでなくても、メンバーで一番忙しいのに。
「いやいや、オレ何も…」
多分、結構前から心配かけてたんかもしれん。
だって…時々かけてくれる言葉が、本当に優しかったから。
「今度こそ、ご飯行こな！奢るから」
信ちゃんは、何か言いたそうな顔をしてたけど、そこに電話がかかって来た。
信ちゃんは運転してるから、おれが代わりに取った。
「もしもし？」
『おい、ヒナまだか？今どこやねん』
電話は横ちょからだった。
「あ、横ちょ？今な、スタジオの建物に入ったとこ。これから駐車場」
『ぉ、ヤス！ホンマやな、お前そば屋の出前みたいな事言うてへんやろなー！』
「ホンマやって、マジマジ！あと5分もかからへんって！」
そう言ってると、電話がぷつんと切れた。
この建物のある場所は、今時場所によっては圏外になる。
「ヨコ、結構イライラしてた感じ？」
「そうやね、割と」
ほらね。
多分、信ちゃん待ちで、時間も押してるんやろな。
「そしたらさ、ヤス悪いけど先行っといてーや。オレ、車停めたらダッシュするから」
そう言って信ちゃんは車を停めるから、おれは車を降りた。
「そしたら、そう言うといてな？」
「うん」
おれは、信ちゃんの車を見送ると、勝手知ったる収録先に向かうべく、建物に入ってすぐのエレベーターに乗った。
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作者名：蒼乃碧 | 作成日時：2017年8月10日 2時
