キミイロオモイ (ページ11)

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青 side

「ヤスと2人だけで飯って、もしかしたら初めてやなぁ～♪」

マルにあんだけ言うだけあって、信ちゃんの運転は上手い。

スピードはそんなに出してないのに、スムーズに流れに乗るので車線変更とかもスイスイ走ってる。

運転は性格が出るってホンマやな。

おまけに車も高級セダン。

あまりの快適さについ目を瞑ってしまう。

「どないしてん、やっぱり眠いんか？」

ちら、とこちらに視線を向けて信ちゃんが問いかける。

「ちゃうよ～。そら、こんな高級車に乗せて貰ったら、こないなりますよ」

「高級車？なんでやん、コレより高級な車なんか山ほどあるで？」

「そうなん？」

「そらそうやで～。そのためにはもっと仕事頑張らんと」

「…そしたらさ、おれと飯って場合とちゃうんちゃう？」

このすぐ後だって仕事あるのに大丈夫なんかな？

「ほしたら、ヤスは飯も食わんとギターばっかり弾くんやろ？」

「…そんなこと…」

「あるやろ？」

「判らへん」

「…ヤスは、自分のこと一番判ってないから」

信ちゃんが優しい口調で言うから…不覚にも涙ぐんでしまう。

「泣くなや」

「…ごめん」

「どないするん？これから」

「…判らへん」

「そうけ…ほな、一回よおぉ考えた方が良いかもしれんなぁ」

「…ぅん、そうする」

「うんうん、それがええわ」

そういったきり、信ちゃんは黙って運転を続けた。