One day in winter

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慌てて首にかけてたタオルを引っ掴んで、
口元に寄せる。

汗とか吸って嫌かもしんないけど、ごめん。

心の中で謝って、なるべく刺激しないように、
そっと背中を摩る。


「ふ……ぇ゛、っ、…は、っはぁ、っ…、」

「ゆっくり息して。大丈夫だから。
…っ、佐久間、タオルもうちょい欲しい」

「っ分かった、一瞬離れるよ」

一度戻しても吐き気が治まらないのか、
顔を真っ白にしながら何度も戻し続ける。

滴が垂れるほどに汗をかいて、
普段どれだけキツくても上がらない息を荒くして。

「…っ、は、ぁ…っはぁ、……っ、」

「舘さん、ゆっくり息して、っ」





さっきまでそばにいた佐久間もこの場を離れて、
今舘さんのそばにいるのは俺だけ。

誰かに助けを求めたくて顔を上げても、
周りを慌ただしく駆けるスタッフさんたち。

早く、早く救急車。
病院行かなきゃ、早く。





俺まで焦って頭を真っ白にしてたら、
誰かが正面にしゃがみこんだ。





「……涼太、過呼吸なりかけてる。
ちゃんと吐けてっから、息吸いすぎ」

呼吸に合わせて、そっと背中を摩るのが見えて、
ようやく頭が冷静になる。




「…ごめん、翔太。ありがと、」

「ん。…涼太、大丈夫だから落ち着け。
焦んなくていい」

「っふ、ーー、っ……はぁ、っ
ふー、っぅう、っ」

「そーそー、できてるできてる」

翔太が声をかけただけで、
あっという間に呼吸が元通りになった。

3→←dt×iwnb（怪我）

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