One day in winter

sk×all（体調不良） ページ1

fk


「っ…ちょ、と…待って、っごめ、ッ」


突然、俺の隣で佐久間がしゃがみ込んだ。

しゃがみ込んだと言ってしまえば聞こえは
いいけれど、もっと正確に言うなら
床に倒れ込んだ形に近いかも。

土下座のような姿勢で丸くなるようになった佐久間は
いつもよりも小さく見えて、そっと背中を摩る。


「どしたどした？しんどくなっちゃった？」


顔は良く見えないけど、つーっと首筋に
汗が流れて床に落ちるのは見えた。
佐久間は代謝がいいのか汗っかきだけど、
まだ汗をかくほど踊ってない。

前面が鏡張りだから、
メンバーみんな心配して近寄ってきてるのが分かる。


「んゃ、……ふ、ーっ…ふーーッ…ごめ、いける、」


へにゃりと笑うけれど、
それはいつもの笑顔じゃない。

ようやく見えた顔は土気色をしていた。


それに気付いたのは俺だけじゃないようで。


「顔色最悪。一旦休憩入れよ。
目黒、マット敷いて？」


照がテキパキと指示を出す。
分かりました、と練習場の隅へ走り、
ストレッチ用のマットを手に取り広げた。


「ゃ、いいってば…へーきだから、っ…んとに、」


必死に首を振って立ち上がろうとするけど
そうはさせない。
対して力も入ってないから片腕で押さえられる。

どうせ、みんなの前じゃ強がりたいんだろーけど。

押さえてもなお身じろぎを繰り返す佐久間に
呆れてため息が漏れた。



しょうがないな、
その強がりを買ってやろうじゃないの。

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す