あなたをどこかで求めてる ページ10
.
そっと優しく唇が離れると壱馬くんの指先が私の前髪を撫でる。壱馬くんが熱のこもった眼差しで私を見つめた。
再び距離を詰めてくる壱馬くんに顔を背けるとバッグから紙袋を取り出した。
壱馬くんの醸し出す甘ったるい空気には、まだ慣れない。
「…わ、私もプレゼントあるんだった。喜んで貰えるかわかんないけど…」
「え、マジで…。貰えるって思ってなかったから用意してくれただけでめちゃくちゃ嬉しい」
袋を開けると嬉しそうに手袋を嵌めてくれた壱馬くん。
「……あのさ、さっき私といるとアンバーのこと忘れるって言ってたでしょ？私も忘れるよ？壱馬くんといるとケンちゃんのこと忘れる。だから、ありがとう」
「…あのさ、Aさん。忘れなくていいよ、健さんのこと。健さんと一緒にいて幸せだったなら忘れる必要なんてどこにもねぇじゃん。健さんの分までAさんが覚えててあげなよ」
「………っ、ケンちゃんの記憶戻ったんだって。でも迎えに来てくれなかった。だからって壱馬くんを選ぶなんてズルいってわかってる…。でも、もうどうすればいいかわからなくて、」
「大丈夫。焦んなくていいからさ…、俺と次の恋を始めよう」
壱馬くんの言葉に堰を切ったかのように涙が溢れて止まらない。
「…ふっ、泣きすぎ。もう着くから泣き止まないと俺が変な目で見られるし」
笑いながら私の涙を拭う壱馬くん。……違うの、壱馬くん。壱馬くんの気持ちが嬉しくて泣いてるんじゃないの。
「……神谷 健太との恋を始めませんか？」
ケンちゃんからの告白を思い出して涙が止まらないんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 413人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Lala(プロフ) - タムさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。労いの言葉もありがとうございます。タムさんも書き手でいらっしゃったんですね！タムさんのコメントのおかげで執筆意欲が上がっていたのでこちらこそ感謝を伝えたいです。ありがとうございました！ (2022年3月10日 11時) (
レス) id: 7b2010937b (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - Megさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。幸せだと言って下さると執筆してよかったなと改めて思います。Megさんの更新にたくさん励まされ勝手に勇気をいただいてました。これからもともに頑張りましょうね！またお話読みに行きます♪ (2022年3月10日 11時) (レス) id: 7b2010937b (このIDを非表示/違反報告)
タム(プロフ) - 完結おめでとうございます💐そしてお疲れ様でした☺️私も書き手の時期があったので、最後まで書き続けることの大変さを知っています。だからこそ感謝の気持ちでいっぱいです😢Lalaさんとこの作品に出会えて幸せです💭♡ (2022年3月9日 1時) (レス) id: 2c73cc4c7d (このIDを非表示/違反報告)
Meg(プロフ) - ぬぁ😭やっぱりこの作品好きです！！幸せな時間をありがとうございました！！番外編も楽しみに待っています✨ (2022年3月8日 22時) (レス) @page45 id: cd0d8bd3ad (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - タムさん» コメントありがとうございます！今夜更新分で全ての理由が明らかになりますのでお楽しみに🌟ぜひこのお話の結末を見届けてください🙏🏻毎回コメントありがとうございます🥺 (2022年3月8日 21時) (レス) id: b9d8b91003 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lala | 作成日時：2021年11月2日 17時
