ただいま ページ4
【主人公side】
「──ただいま、東京〜!」
2年ぶりに降り立つこの空港が懐かしくて、
思わずひとりつぶやいた。
見るもの聞くもの全部日本語!
匂いも懐かしい。ああ、帰ってきたんだ。
現在朝の7時過ぎ。
藍は9時半まで仕事で、それから家に帰ると言っていたから──
まずは久々の赤い列車に乗って、空港から家族の住む実家へ。新しい家を借りるまでは実家暮らし。
早くひとりで住む家、探さなくちゃ。
なんてことを考えていると、懐かしの我が家へ到着。
「お父さーん、お母さーん!ただいまー!」
奥からドタバタ音がして、両親が出てくる。
「おかえりA!長旅疲れたでしょう」
「空港まで車で迎えに行くと言っただろう」
「荷物はほとんど送っちゃったし、スーツケースしかないから大丈夫だったってば」
父は昔から私に甘い。
お風呂は、ごはんはと矢継ぎ早に母から質問される。
変わってないな、本当に。
「シャワーだけ浴びる!で、これから藍のとこ行くから、私」
「あら!伊吹さん?」
「うん。驚かせようと思って、まだ着いたこと言ってないの」
「伊吹くんによろしく伝えてくれ」
比較的厳しい父は、なぜか藍がお気に入り。
嬉しいことだけど、なんか不思議。
「じゃあ、行ってきます!」
10時。藍の家の最寄駅に到着。
藍が引っ越してからここに来るのは初めて。
引っ越してすぐ、私の誕生日にと小包を送ってくれたから、住所は入手済み。
ほー、ここが新しいおうちか〜
部屋の前に着き、インターホンを鳴らそうとしたその時。
「……え?A?」
ずっと生で聴きたかった愛おしい声。
そのトーンから察するに、きっと作戦は成功。
「藍!」
どちらからともなく歩み寄って、私は藍の胸めがけてダイブする。
私をしっかり受け止める藍のがっしりした腕。
「会いたかったよ、藍」
「おれも…だけどなんでここにいんの?」
「んふふ、驚かせたくて」
「うわ…やられたなーこれは」
藍は私を抱きしめたまま歩き出す。
手際よく玄関の鍵を開けて、私と自分を部屋に押し込めたかと思うと、私をさっきより強く、というかもはや抱きすくめた。
「…本っ当に会いたかったよ、A」
そう言って、何度も何度も私にキスを落とした。
「ただいま、藍」
「ん、おかえり」
サプライズは成功。
今日は好きなだけ、一緒にいられる。
今までの時間を埋めるみたいに。
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チェリー(プロフ) - はじめまして。リクエストしてもいいでしょうか?伊吹が主人公にプロポーズする話をお願いします。 (2020年10月22日 20時) (レス) id: 3bf9690769 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませてもらっています。質問してもいいでしょうか?死ネタは書くことができるでしょうか? (2020年10月22日 14時) (レス) id: 4a11be0ec9 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - こなさん» こなさん、リクエストありがとうございました!書くのが遅くなってしまって本当にすみません!楽しんでいただけると幸いです。 (2020年9月25日 15時) (レス) id: 9d1fcda077 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストお願いいたします!捜査依頼で彼女が英語を話すはなしを。、 (2020年9月14日 19時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - こなさん» わああ嬉しい( ; ; )ありがとうございます!リクエスト、お待ちしています! (2020年8月24日 7時) (レス) id: 9d1fcda077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2020年8月16日 22時