藍の相棒 ページ20
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あれ、あのトラックはまさか…
「それで?ヨンキソウってとこの仕事はどうなの?」
「あー、楽しくやってるよ。メロンパンのトラックに乗ってる」
「…は?」
話が掻い摘まれすぎて、まったく分からない。
あおり運転の常習犯を捕まえる途中で、相棒のシマさんと機捜車を廃車にしてしまったらしい。
「それでメロンパンのトラックになった、と」
「うん。初動捜査だけってなんかやりがいないなーと思ってたけどさ、最悪な事態になる前に止められるっていいなーって。志摩もまあいい奴だし。だから4機捜の仕事、俺は好き」
やりがいを見つけた仕事、新しい仕事仲間。きっと満たされてるんだろうな。
出会った頃から6年も歳をとっているはずなのに、今見る藍の笑顔は子どもみたいだった。
「…なんか藍、変わったね。前よりキラキラしてる」
「えー?そう?」
最高ににやついた顔で藍が答えた。
数日前、藍の部屋で交わした会話を思い出していた。
「…あれが警察車両とは、思わないよね〜」
仕事の邪魔はしたくなかったけど、藍が乗っているかちょっと(いやかなり)見てみたくて、近づいてみる。
運転席を見ようとそわそわ身体を動かしていると、助手席の窓が開く。
「すみません、メロンパンないんですよ」
わ、これがシマさんか…!
「あ、あのはい、知ってます」
シマさんがなんだこいつ、と言わんばかりに眉間にシワを寄せる。
「えーA!何してんの!」
運転席から身を乗り出して覗く藍。
「こないだ言ってたメロンパン号見つけたからさ、まさかと思って!」
「そのまさかだったねー、仕事中?」
「うん、そう仕事中。取引先に挨拶して、今戻るとこ」
「…伊吹」
「んー?…あ、志摩、A、A、志摩」
志摩さんと私、交互に見て紹介する藍。
わー、近年稀に見る雑な紹介。
「志摩です」
「Aです。藍がいつもお世話になってます」
「えー逆じゃなーい?俺が志摩のお世話…」
「お ま え ま じ か」
2人のやり取りに笑ってしまう。
楽しそうだな、藍。よかった。
「…そろそろ会社戻らないと!志摩さん、お会いできてよかったです!またね、藍」
奥多摩のおまわりさんだった藍も好きだけど、サングラスをかけて可愛いメロンパン号を運転する藍も。
藍がずっと、4機捜にいられたらいいな──
そんなことを思いながら、会社に戻った。
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チェリー(プロフ) - はじめまして。リクエストしてもいいでしょうか?伊吹が主人公にプロポーズする話をお願いします。 (2020年10月22日 20時) (レス) id: 3bf9690769 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませてもらっています。質問してもいいでしょうか?死ネタは書くことができるでしょうか? (2020年10月22日 14時) (レス) id: 4a11be0ec9 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - こなさん» こなさん、リクエストありがとうございました!書くのが遅くなってしまって本当にすみません!楽しんでいただけると幸いです。 (2020年9月25日 15時) (レス) id: 9d1fcda077 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストお願いいたします!捜査依頼で彼女が英語を話すはなしを。、 (2020年9月14日 19時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - こなさん» わああ嬉しい( ; ; )ありがとうございます!リクエスト、お待ちしています! (2020年8月24日 7時) (レス) id: 9d1fcda077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2020年8月16日 22時