検索窓
今日:40 hit、昨日:2 hit、合計:95,014 hit

悪口じゃないからいっか? ページ12

温泉を出て近くの定食屋さんでランチをしていると、

「悠が近くまで来てるみたい!ドライブ行かない?」

といろは。

悠くんはいろはに会いたくてわざわざ車を出しただろうから、そこに私がお邪魔するのは申し訳ない。

「ううん、せっかくだけど私はいいや。2人で楽しんできて」

「そっか…あ、今から帰るならまだ伊吹さん交番にいるだろうからさ、会ってきたら?」

「…ん?なんで?私はお財布を届けてくれたお店のおばあさんにお土産を買って、お礼をしてきます」

「まあそれも大事だけど!」



ランチの後いろはと別れて、ひとりで朝乗ったのとは反対方向の電車に乗る。


結局、というかもちろん交番には寄らなかった。



地元だからもらっても嬉しくないかもとは分かっていたけど、とりあえず温泉地っぽいお菓子を、お財布を届けてくれたおばあさんに持って行った。


「無事にあなたの手元に戻ってよかったわ。私もその日に交番に行けばよかったのに、忙しくなっちゃってそのまま忘れてしまって。ごめんなさいねぇ」

と、とっても優しい口調のおばあさん。

「交番にいたおまわりさん、あなたの事を可愛い女の子〜なんて言ってたけど、本当だったわね」


「え?…ありがとうございます…」


なんなんだあの警察官は。と心の中で悪態をつくところだったけど、自分の知らないところで可愛いなんて言われることがあるのかと、ちょっと嬉しくなってしまって、おばあさんにありがとうございますなんて言ってしまった




まだ明るいうちなら大丈夫と、研修施設までの道を初めてひとりで歩いた。
改めて、東京とは思えないほど濃い緑に、どこか遠くに旅行に来たような気分になる。

私意外と好きかも、こういう場所。
この街が、自分の暮らす東京の一部なのだと思うと、なんだか少し嬉しくなった。



ちょっとだけワクワクした気分で部屋に着いた時、フェイスノートにメッセージが届く音がした。

あんまり使わないから珍しいな

そう思って開くと

『久しぶり。元気にしてる?久々に会いたいな』

差出人は、もう見ることはないと思っていた名前。

「……裕史…?」

突然の出来事に鼓動が速くなるのが分かる。手も震えてきた。

もちろん返信はせず、そのまま相手をブロック。


こわ…とりあえず、いろはが帰ってくるのを待とう。

たった今見たものをなかったことにしようと、横になって目を閉じた。

忘れた頃に→←遺失届と拾得物



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (92 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
301人がお気に入り
設定タグ:MIU404 , 伊吹藍   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チェリー(プロフ) - はじめまして。リクエストしてもいいでしょうか?伊吹が主人公にプロポーズする話をお願いします。 (2020年10月22日 20時) (レス) id: 3bf9690769 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませてもらっています。質問してもいいでしょうか?死ネタは書くことができるでしょうか? (2020年10月22日 14時) (レス) id: 4a11be0ec9 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - こなさん» こなさん、リクエストありがとうございました!書くのが遅くなってしまって本当にすみません!楽しんでいただけると幸いです。 (2020年9月25日 15時) (レス) id: 9d1fcda077 (このIDを非表示/違反報告)
こな(プロフ) - リクエストお願いいたします!捜査依頼で彼女が英語を話すはなしを。、 (2020年9月14日 19時) (レス) id: 3a7ce308f1 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - こなさん» わああ嬉しい( ; ; )ありがとうございます!リクエスト、お待ちしています! (2020年8月24日 7時) (レス) id: 9d1fcda077 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りり | 作成日時:2020年8月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。