インディゴブルーの詰め合わせ

報告書は後回し ページ2

【志摩side】


「ねえ志摩〜おれ今日定時でささっと上がらしてもらっていい？ていうか上がるわ〜」

太陽がようやく昇りきった頃、メロンパン号の運転席でいつにも増してヘラヘラしている俺の相棒、伊吹 藍がいつにも増してニヤついた顔で話しかけてくる。

「…報告書」

「ん？」

俺がそう言うであろうことはわかっているだろうに、
わざわざ定時ぴったりに上がりたいと言ってくるのは
俺にその理由を聞いてほしいからなのだろうか、面倒臭い。

「伊吹…書かなきゃならない報告書が溜まってるだろ」

はい、出た〜〜！報告書魔人！となんだか嬉しそうに言ったあと、

「いやそうだよな志摩、だけど今日はごめん！超超超大事な用事があってさ〜」

と続ける伊吹。仕方ない聞いてやるか。

「…なんだ、用事って」

「あ、知りたい？聞きたい？気になる〜？」

「いや伊吹、お前が聞いてくれみたいな雰囲気出してんだろ」

「実はさ〜、今日彼女が帰ってくんのよ、シアトルから」

「…は？誰の彼女？」

「おーれーのーだーよ！誰が他人の彼女迎えに行くんだよ」

やばいなこいつ。とうとう見えないものが見えるようになったのか？

「いや〜、２年も会ってないんだよね〜〜もう超楽しみ」

「伊吹、お前それ本気で言ってんのか？」

「ちょっと志摩ぁ、おれが実在しない彼女の話すると思うか〜？」

それをされたらさすがに引くが
かと言ってこいつに彼女がいると言うのもにわかには信じがたい。

だがその後も伊吹の話を聞いていると、どうやらこいつに彼女がいるのは本当らしかった。
２年も会ってなかったのか…


「ってわけで、夕方こっちに着く飛行機らしいからおれは一回帰って仮眠〜
今日は長い夜になるかもだからさっ」

「そこまで俺に言わなくていい。報告書、後日きちんとやれよ」

「合点承知の助！ありがと志摩ちゃ〜ん』

…絶対承知してないよな。



数時間後、目立った事件もなく無事に当番を終えた俺たちは分駐所へ戻った。

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「それじゃあ志摩、陣馬さん、九ちゃん、おっさきでーす！」


稲妻のように、伊吹は分駐所を去った。


普段女の子を見つけては、きゅるっとしてるだとかしてないだとか
意味の分からないことを言っているが、

彼女のことはきっと本気で大切なんだろう。

(分駐所に戻るまで、何回も何枚も彼女の写真を見せられた)
(今まで見た伊吹史上一番だらしない顔だったな)

企み→←ちょっと遠すぎた

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