二十一話 ページ28
「......あ」
『エーミール先輩、何か？』
彼がこんなに辛そうな顔をする理由は知っている筈なのに、何て私は最低な人間だろうか。
「いえ、何でもありません。図書委員会のことについて説明しておきましょうか。」
気をまぎらわすように図書室の中に姿を溶け込ませエーミールさんは後ろを向いた。
「今日は召集がかかっていたんですが、図書委員会の顧問の先生が急なご用で本日は休みになったんです。
来てくれた方に大まかな仕事を多少やって今日は帰ってくれて大丈夫ですよ。」
『あ、分かりました。何をしますか？』
「取り敢えず、本の整理について教えさせていただきますね。」
そして、エーミールさんに本の収納方法を教えてもらってから早十五分が経っていた。
『(気まずい)』
二人で黙々とやっていたから両者何も喋ることがない。
そして委員会のメンバーが誰一人としてやってこず、益々雰囲気が暗いものに変わっていく。
「..........あ、の」
『はいっ？！』
急に話しかけられすっとんきょうな声が上がってしまう。まさか、彼の方から口火を切るとは思っていなかった。
「Aさんは、前世とかって信じますか？」
『....質問を質問で返して申し訳ありませんが、ならもしも私に前世の記憶があったらどうしますか？
＿＿＿＿貴方を知っていたら、どうしますか？』
賭けをしてみよう。
ピンポイントでそんな意味不明な言動をするとは思えない。
彼は、分かりやすいから。善人で、嘘もまともにつくことが苦手な人だから。
限りなく、優しい人だから。
私が少し荒手に動いてみよう。
「それっ、て『本の整頓終わりましたよ。他の仕事はありますか？』ｯあ、これ以上は無い、です」
『じゃあ、私は失礼しますね』
エーミールさんは何かを言おうと口を半開きにしていたが、その言葉を遮り鞄をひっつかんで図書室から足早に出た。
頬がひくつく。
今日はもう帰ろう、図書委員会があるのはまた来週らしい。
何時か、分かりあえるだろう。今は、その時じゃないと思うから。
私って、面倒臭いな。
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お星 - うわーすごいいい話じゃないですかぁ（泣）体に気をつけながら頑張ってください''い''（泣いています） (2020年7月19日 21時) (
レス) id: 7b09c37ff3 (このIDを非表示/違反報告)
雨桷(プロフ) - あああ泣かないで下さい（泣）過去編が上手くまとめられなくてどうしようと思ってたのですがそう言ってくれる方がいて嬉しいです( ；∀；)これからも頑張ります！ (2020年4月30日 19時) (レス) id: 74dfe25e8a (このIDを非表示/違反報告)
あんり - う゛う゛う゛(泣)感動しました...過去編とかまーじで涙腺ガバガバでしたわ...更新無理せず頑張ってください！ (2020年4月30日 9時) (レス) id: 4620368618 (このIDを非表示/違反報告)
雨桷(プロフ) - 眠い日とさん» コメントありがとうございます！全部が好きなんて嬉しいお言葉で照れますね！影の藻って、マニアックな場所にお隠れになっているようなので私も今からそちらに走っていきますので少々お待ちを！ (2020年4月28日 9時) (レス) id: 74dfe25e8a (このIDを非表示/違反報告)
眠い日と - コメント失礼しますこの作品すごく面白いですね！語彙力がないんで細かく言えないですが、全部が好きです！これからも無理せず頑張って下さい！自分は影の藻から応援してますので！ (2020年4月27日 22時) (レス) id: 135cca5399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨桷 | 作成日時：2020年3月31日 11時
