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「でも、今日からAちゃんは俺で頭いっぱいになっちゃうね?どう?俺のこと、男として意識し始めてる?」
『…ねえ、ほ、本気で言ってるの、?』
「Aちゃんには俺が本気に見えないの?」
ラウールの表情があまりにも真剣で、目をそらせなくなる。
「本気で、Aちゃんが好きだよ。好きじゃなきゃ酔い潰れても優しく介抱しないし、ラブホになんて入らないし、キスだってしないよ。
全部、Aちゃんだからしたんだよ?」
『…ラウ、』
「急にこんなこと言われても困る?…まあ、困るよね…
だって、Aちゃんは康二くんのことが好きなんだもんね?」
『っ、!なん、で、』
突然のことに頭が追いつかない。
「見てればわかるよ。…でも、康二くん、彼女できちゃったね?…Aちゃん可哀想」
身体が固まって動けない。
「康二くん、急に彼女ができたなんて言うからびっくりしたけど、Aちゃんはショックだったよね?だから、今日はお酒飲むペース早くなっちゃって、酔い潰れちゃったんじゃない?」
『…っ、』
その通りだった。
「康二くん、酔い潰れたAちゃんを置いて彼女のところに行っちゃうんだもん、俺、Aちゃんが可哀想で仕方なかったよ」
……知っていた。
消えかかる意識の中、彼女の元へ行くと言った康二の声に、康二が出て行く足音が聞こえて、もう康二のことなんて忘れてしまいたいと思いながら、私は意識を手放したのだから。
「ねえ、ひとってさ、ショックが大きい時に記憶障害を起こすこともあるっていうじゃない?知ってた?意図的に、忘れたい記憶を消すこともできちゃうんだって。
ねえ、Aちゃん、康二くんのこと、忘れたい?」
『…え、』
「康二くんを好きな気持ち、俺が忘れさせてあげようか?
彼女がいるひとを好きでいるなんて、辛いでしょ?」
『……つらい、つらいよ、』
「俺、辛そうにしてるAちゃんを見てられないよ…
だから、康二くんのこと忘れよう?」
『ん、…康二のこと、忘れたいっ、もう好きでいたくない、』
じわじわと胸の痛みが蘇る。
くるしい、くるしくてたまらない、。
「ん、つらかったよね、苦しかったよね?俺も…よく分かるよ」
溢れた涙を優しく拭ってくれるラウールの手が、ゆっくりと私の頬を包んだ。
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関西弁大好き - 続き見たいです❗楽しみに待ってます❗お体に気をつけて頑張って下さい😆🎵 (10月24日 0時) (レス) id: dc054cb4c4 (このIDを非表示/違反報告)
EM(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます。ラウさんガッツポーズしてると思います! (6月17日 13時) (レス) id: 3626747921 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - ラウにおちました (6月16日 17時) (レス) @page19 id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EM | 作成日時:2022年9月19日 12時