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「風邪ひくよ」
キッチンでお湯を沸かすAに近寄り、彼女の肩に掛かるタオルで頭を拭いてあげれば、Aが俺を見上げた。
『ありがとう』
雨に濡れて服から透ける肌色、薄く開いた唇、ガラスのような瞳、濡れた髪が肌に張り付いた無防備な姿に、俺は完全にやられてしまった。
無言のまま、Aの腰を引き寄せて流れるようにキスをすれば、小柄なAが背伸びをして必死で応えてくるから、理性なんて吹っ飛んでしまった。
シューシューと湯気を立てるやかんに、ハッと我に帰る。冷えかけてたはずの身体は気付けば熱を帯びていた。Aの乱れた呼吸音と蕩けた姿に、体の熱が一気に上がる。
「わりぃ、」
『ん、だいじょうぶ、』
カチリ、とやかんの火を消す。
「A、風邪ひくから先に風呂入ってきて」
『蓮が先でいいよ』
「いや、俺は大丈夫」
『じゃあ、一緒に、、一緒に入ろ?』
俺の手を握りながら、俺の目をじっと見つめて誘ってくるこの女は悪魔か?
Aに手を引かれて、バスルームに足を踏み入れた。
彼女を大切にしたくて、誠実で優しい彼氏であろうと努めてきたのに。俺の努力は水の泡となってしまう。
でも、Aはそれを望んでるかのようで。
いや、そうやって全部彼女のせいにして、俺は今この場で彼女を完全に自分のものにしたくて、誠実な男の皮を脱ぎ去りたくて、ただ思うがままにAをめちゃくちゃに抱きたくて、それだけだった。
「A、ごめん、優しくできねぇかも」
『いいっ、蓮がしたいようにして、っ』
ほら、やっぱり、Aは悪魔だ。
俺を誘惑する悪い悪魔。
俺を惑わす悪い悪魔のキミなら、
どこまでも一緒に墜ちてくれるよね?
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Dark eyes - Raul→←悪魔の囁き - Ren -
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関西弁大好き - 続き見たいです❗楽しみに待ってます❗お体に気をつけて頑張って下さい😆🎵 (10月24日 0時) (レス) id: dc054cb4c4 (このIDを非表示/違反報告)
EM(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます。ラウさんガッツポーズしてると思います! (6月17日 13時) (レス) id: 3626747921 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - ラウにおちました (6月16日 17時) (レス) @page19 id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EM | 作成日時:2022年9月19日 12時