彼女は愛され体質

未来 ページ29

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「はい、メイク完成！そしたらヘアメイクもやっていきますね〜」

「はーい、よろしくお願いします」


今日は個人の仕事だけ。ファッション誌の撮影と取材のみ。鏡に写る顔はメイクさんの力によって、甘さの無いクールな強さを纏っていた。メイクさんがいなかったら、顔色の悪い冴えない姿を晒すことになっていた。撮影前日にあんな飲むなんて、意識低下もいいところだ。本当に反省しないと。

でも、昨晩は、飲まずにはいられなかった。



「A、好きだよ。ずっとずっと、Aだけなんだ。…やり直したい。一生、俺のそばにいてほしい」



彼からの電話。嬉しかった。その言葉がすごくすごく嬉しかった。でもそれ以上にショックだった。

別れたのはお互いのため。お互い今はガムシャラに頑張らないといけない時期。今は一緒にいるべきじゃないと、私たちは別々の道に進んだ。それから1年も経たないうちに、よりを戻そうと言える彼はこの1年で変わってしまったのかな。私にはそんな余裕はない。 SixTONESの、Jr.の仕事内容に変化が出てきたと言っても、まだまだ不安定な立場で、先が見えなくて必死にもがいてる。



「私も好きだよ。今だって変わらない。誰よりも想ってる。…だけど無理なの。今の私には誰かと恋愛してる余裕なんてないよ。…ごめんね」



愛する人と結ばれていつまでも幸せに暮らす。なんて、おとぎ話の結末みたいにはいかない。

私が選んだのは彼との未来じゃない。
SixTONESAAとしての未来だ。


感情的にアルコールを流し込んでいると、美勇人と居合わせた。彼らがガムシャラに突っ走ってることを聞いたら、やっぱり戦うことから諦めちゃいけないんだって改めて思った。


今朝、目を覚ますと隣には疲れの見える寝顔があって、少しパサついたピンク色の髪になんだか癒された。

私も樹を、メンバーを守れるように強くならないと。





「クールに、強さを目で表現して、そうそう、いいね！」


シャッター音が響く。

レンズの奥に弱い私がいる。

私は強くなれる。弱さと脆さは今日ここで捨てていこう。

手にしたいのは SixTONESとして輝く未来。



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