彼女は愛され体質

君のために生きていいかな - Juri ページ27

Juri side



「ねぇ、あたしもこのまま朝まで泊まっていっていいでしょ？」

「ん？あー」

「ねぇってば！聞いてる？」

「うるせぇよ、もう寝かせろよ」

「えー あたし全然眠くないっ！」

「…元気だねぇ、まだやりたいの？」


猫なで声で擦り寄ってきて、胸押し付けてくるあたり、まだまだやる気満々じゃん。そりゃあ、呼んだのは俺だけどさ、そんなずっと目ギラギラさせられると若干引いちゃうよね。

…なんて思いつつも反応しちゃうのは健全な男だから仕方ないわけで、目の前の女に対して好きだとか愛だとかって感情は全く無いんだけど、俺に好かれようと必死なところは健気でかわいいよね。

欲望のままに、だけど後々面倒臭いことにならないように必ずゴムつけるあたり、俺って理性的な人間だと思う。突っ伏して荒い呼吸を繰り返す女が何か言った気がしたけどそれを無視してシャワーを浴びる。



…Aは今頃、誰と何をしているんだろう。

誰かに抱かれていたりするのかな。俺が知らないAの表情を知る男はどんな奴なんだろう。

Aはどんな声で、どんな表情で…



「…クソッ」


いつもこうだ。頭に浮かんでくるのはAのことばかり。どれだけ女を抱こうが満たされない。快感なんて一瞬で消えて、その後に襲ってくる虚しさとやるせない気持ちが残るだけ。


そりゃそうだ、俺が抱いたのはAじゃないから。

どんな女もあいつの代わりにすらならないんだ。




タオルで髪を拭きながら、部屋へ戻ってスマホを見れば、23:10の下に表示されるメッセージ。


「あたしもシャワー浴びてくるね〜」




Aたすけて
Aごめんかなり酔ってるかも
A赤坂のいつものとこ



「…俺行くわ、部屋代置いてくからよろしく」

「ちょっ、樹！？」


足早にホテルを出る。Aからのラインを見てタクシーに乗るまで3分もかかってない。髪だってまだ濡れてる。身体は疲れてるはずなのに、頭がやけにクリアになって怠さなんて消えていた。



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