彼女は愛され体質

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結局それから3分もしないうちに樹がスタッフから呼ばれて楽屋から出て行った。


「北斗、」

北「なに」

「膝貸してー」

北「すぐ樹戻ってくるって」

「はやく枕」

北「ったく、…はい」


仕方なしにAが横になってるソファーに座れば、よいしょと頭を乗せてくるA。


「さんきゅーそーまっち」

北「発音ひらがなじゃん、って、ちょっと待って」

「ん？」

北「熱あんじゃん、微熱だけど」


服越しでも伝わる体温がいつものAの体温より少し高く感じる。


慎「え？A熱あんの？！」

京「まじ？大丈夫？」

「え？いや全然大丈夫だけど、？」

北「今は微熱だけど、夜には高くなるよこれ。今のうちに薬飲んでおきなよ」

ジェ「北斗、いつから医者になったの？」

「大丈夫だって、ちょっとボーッとするけど」

北「ボーッとしてんでしょ、それ微熱だからですー
こーちマネージャー呼んできて」

高「おー」



体温計に表示された 37.5℃

俺を見上げてポカンとしてるA。


北「なに」

「北斗って私以上に私のこと分かってるよね」

北「まぁね」

「ママ〜」

北「ママじゃねぇよ」

慎「北斗ママ〜」

北「なぁに坊や？ってちげぇよ！」

ジェ「AHAHA！北斗ママ！」


ふざけだす慎太郎とジェシーを余所に京本はAの手を握って、「大丈夫、俺がついてるよ」とかなんとか言ってる。

マネージャーから渡された薬を飲んで大人しく寝始めたAを見つめながら、結局こいつの世話焼きやってんじゃん俺、と溜め息。



京「北斗すげぇな」

北「なにが」

京「微熱に気づくって、なんか本当に母親みたい」

北「だからママじゃねぇって」

京「いつもAが体調悪いのとかすぐ気づくよね」

北「あー」

京「ムカつくけど、北斗はそうゆうポジションなんだよな、ムカつくけど」

北「2回もムカつくとか言うなし」


Aを見つめたまま話す京本。

そうゆうポジションって… おまえはそれでいいのかよ。樹みたいに一々牽制してくんのもどうかと思うけどさ。


でも、やっぱり、俺の膝を枕にして眠るAを見下ろすこの時間は心地良くて。Aのちょっとした変化に気づけることに優越感を感じてしまうし、世話を焼くこの時間がなんだかんだ楽しくて好きなんだよね。


このポジションはそう簡単に誰かに譲りたくない。


結局のところ、俺はまだAのことを100%諦めきれたわけじゃないんだ。


諦めきれるのか、

それとも…



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