36 ページ7
休みの日の朝､揺すられる感覚にゆっくり目を開けると俺を見つめる大我が居た｡
飛び起きるとクスクスと笑い､そのまま立ち上がった｡
『起きた??』
『...起きたけど､何で居るの??』
『出掛ける｡』
『...え??』
『準備してね｡』
『...俺も行くの??』
『そう｡リビングで待ってる｡』
そう言って大我は出ていき､俺はあまりの急な展開に少しボーッとした｡
それから一旦部屋を出て顔を洗いに向かい､部屋に戻って着替えを済ませた｡
それから上着を手にリビングに向かい､全員で朝食を食べてから俺たちは外に出た｡
歩いて最初に向かった場所は花屋で､大我は店員と他愛もない話をしてから花束を受け取った｡
『ねぇ､どこ行く気??』
『着いたらわかる｡』
そう言って歩き出す大我に俺は付いていくしかなかった｡
電車とタクシーを乗り継いで到着したのは墓地だった｡
『...何で墓地｡』
『おいで｡』
そう言って俺に花束を持たせ､大我は桶と杓を持って歩き出した｡
少し歩くと一つの墓石の前に立ち止まり持っているものを置いて､大我はこちらを見た｡
『慎太郎｡』
『なに??』
『ここが､お前の母親が眠ってる場所｡』
『...は??』
大我の言ってる意味がよく理解できなくて正面を見た｡
『...母ちゃんが眠ってる??』
『慎太郎を連れて一年くらい経った頃､連絡をもらった｡その時に､ガンだって聞いたんだ｡』
そう言われて俺は大我を見た｡
『...そんなこと､一言も...｡』
『お母さんから言われた｡死んでも話さないでって｡自分が捨てたからって｡』
『...っ..｡』
『俺ね､慎太郎を一緒に連れていくってお母さんに宣言した時に約束したんだ｡』
『...約束??』
『俺が慎太郎を守って､幸せに満ち溢れた場所で生きていけるように努力するって｡』
『...大我｡』
『...あなた以上に､慎太郎を大切にする｡そう言ったんだ｡』
そう言って大我は墓石に水をそっとかけた｡
『少し遅くなったけど､連れてきたかったんだ｡ちゃんと向き合いたくて｡』
『...｡』
『...亡くなる寸前､最後にお母さんが口にしたのは慎太郎の名前と " ごめん " の言葉だったらしい｡』
『...｡』
『...ちゃんと､慎太郎には向き合ってほしくて｡』
そう言われて俺は墓石を見つめた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みちゅどん(プロフ) - 初めまして！涙ボロボロ流しながら読ませていただきました！更新待ってます♪ (2020年9月17日 21時) (
レス) id: 7115fd05ac (このIDを非表示/違反報告)
みかん - このお話大好きです!!!これからも頑張ってください!!! (2019年9月21日 21時) (レス) id: 1179d0f47a (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 更新ありがとうございます！続き楽しみにしてます！ (2019年9月16日 23時) (レス) id: 46ec5817d4 (このIDを非表示/違反報告)
3 - 続きを楽しみにしてます (2019年5月4日 9時) (レス) id: 1f3daddeea (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 楽しみにしています (2019年3月13日 21時) (レス) id: b86fc9f85c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：seri | 作成日時：2019年1月26日 7時
