心の底から (ページ1)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:9,022 hit

プロローグページ1

「別れよ、飽きたわ」

まただ
分かってた
彼の素っ気ない態度やキスの回数、体を重ねることすら少なくなっていた
彼は浮気していたんだ、だけど傷つきはしなかった

慣れというものは怖いもので「悲しい」とか「寂しい」なんてものはなく「またか」の一言に尽きるだけだった

私は所謂、仕事人間というもので
頼まれた仕事はもちろん、自分が出来そうなものは頼まれてなくてもしてしまう
仕事が好きとかそういうのではなく、ただただ勝手に手が動くのだ、一種の病気だと思う

自分にも原因があるのなんて分かってる
この、仕事という名の深い沼からちょっとでも抜け出さないとまともな恋ができないことくらい

別れる原因はほとんどと言っていいほど「私の仕事のしすぎからくる相手側の飽きからの浮気」

キスもするし体も重ねる
だけど、やはりどうしても仕事を優先してしまう
ほんとに病気だ

そんな私の人生
もう、まともな恋はできないだろうと諦めかけていた
いや、諦めかけていたんじゃない
恋愛や男性に対して恐怖心が芽生え始めたのだ
でも、自分自身に違うと言い聞かせた、そうじゃないと自分の精神を保てないから

明らか、自分が悪いのに「またこの人は浮気するんじゃないか」とか「長続きしないだろうな」とか、考えてしまう自分があまりにも残酷だから

私はこれからも仕事に愛され、仕事を愛し、仕事と付き合う人生になるだろうと、そう思ってた、なのに

「俺は仕事してるA好きやけどな」

社内で1番モテる男であり
私の幼なじみであるこいつだけは

「世界で1番愛してる」

甘すぎる言葉を伝えてくれた