冬に溶ける体温。 (ページ28)

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『え？いや…だって。そんな、』

ソクジンさんが私を好きだった？

『でも、会いには来なかったじゃないですか。』

JN「僕に家の場所を教えてくれなかったのはAでしょ？
いつ聞いてもはぐらかして教えてくれなかった。」

そう言えば、ソクジンさんに私の家の場所は教えていなかった。

それは、いつか終わる関係ならば、ソクジンさんは私の方をそんなに知らない方が、すぐに忘れられるかなって。

『っ、でも、ソクジンさんは元カノのことが好きなんですよね？』

JN「確かに、Aに告白してもらった時は、まだ少し気持ちは残っていたよ。
でも、Aと一緒にいるうちに、僕はAのことしか考えられなくなった。
結構最初のうちからだったと思うよ。」

『でも、クリスマスに元カノと一緒に過ごしていたじゃないですか。』

JN「クリスマス…？確かに元カノは来たけど。
僕の部屋の合鍵を返してって連絡したら、クリスマスイブの夜、持ってきたんだよ。
でも、すぐに帰ったよ。というより、追い返したかな？
仕事終わりで疲れていたし、早くご飯食べたかったし。

それに、A以外の人と一緒にいるのは、疲れるし落ち着かない。」

じゃあ、あの時の元カノの言葉は嘘だったってこと？

それなのに、私は元カノの言葉を鵜呑みにして、1人傷ついて、ソクジンさんから勝手に離れて。

『…でも、キスだってスキンシップだって、無かったじゃないですか。』

JN「そういうのは、ちゃんと気持ちを伝えたうえでするべきだと思ったから。
Aにキスしたいって、何回も思ったよ。
今だってそう。キスしたいし、抱きしめたい。

いい？」

きっと、彼は私の気持ちを全て見透かしているのだろう。

こてんと首を倒しながら控えめに聞くくせに、その瞳は私にYESの答え以外を与えてくれない。

コクリと頷けば、すぐに苦しいほどのぬくもりに包まれる。

『でも、』

JN「まだ、なんか言いたいことある？
僕はAが好き。
それは、昔も今も変わらないし、この先も変えるつもりはないよ。

Aがいなくなって、Aに嫌われたんだと分かっても、僕は君を忘れられなかった。
好きで好きで仕方なかったよ。」

これが本当にソクジンさんだろうか。

クリスマスは普通の日だなんて言っていた、私にちっとも興味を示してくれなかった、私に指の1本も触れてくれなかったソクジンさんだろうか。