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ソクジンさんの部屋の玄関のインターホンを震える指先で押せば、少し物音がしてガチャリと扉が開かれる。
私はその時、酷く後悔した。
クリスマスだから…なんて安易に考えず、何でもない今日の日を家で過ごしていれば良かった。
そうすれば、こんなに胸が引き裂かれるような痛みも感じなかったのに。
「誰？」
綺麗で大人っぽい人だった。
それこそ、ソクジンさんにお似合いだと思う。
これは、私の中の女の勘だろうか。
きっとこの人が、ソクジンさんの元カノ…ソクジンさんの好きな人だ。
JN「勝手に出ないでよ。誰だったの？」
中から、大好きな柔らかい声が聞こえてくる。
その声が、私から酸素を奪う。
あ、やばい。息できない。
込み上げてくる感情を必死に抑える。
「私、これから彼とクリスマスパーティをするところなの。
もういい？」
私の持っている袋を一瞥し、ふっと鼻で笑った。
「今日も明日も、私はソクジンと過ごすから、邪魔しないでね。
それじゃあ、良いクリスマスを。」
ガチャリと音を立てて閉まる扉。
JN「誰だったの？」
「部屋間違えたみたい。
わぁ、美味しそう！！やっぱりソクジンの作る料理は最高だね。」
JN「そう？」
なぁにが、クリスマスは普通の日だ。
言った本人が、元カノと仲良くクリスマスを満喫しちゃってんじゃん。
鼻が痛くなるほど冷たい空気の中、私は人目もはばからず、泣きじゃくりながら帰った。
クリスマスイブの夜にこんなに大泣きをする私を、哀れんだ…というより、引いた目で見る、すれ違う人達。
おうおうおう。
あんたたちは幸せそうでいいね。
私だって、ただ、好きな人と一緒にいられるだけで良かったんだ。
ただ、それだけで幸せだったんだ。
ヨリが戻るそれまでの間でいいから一緒に居させて欲しいと、この関係に期限をつけたのは私。
もう、これが潮時だ。
家に帰る途中、ジミンに電話すれば、すぐに飛んできて、泣きじゃくる私を励ましてくれた。
JM「だから言ったろ？
あの人はやめとけって。
ほんっと、Aって馬鹿だよね。
傷つく必要なんてないのに、自分で傷つく道を選ぶんだもん。
まぁ、いい勉強になったんじゃない？」
…いや、励ましてくれたわけじゃなく、かなり罵られていたのかもしれない。
それでも、にっこり目を細めて私の背中を優しくさすってくれるジミンのぬくもりに、私の心はちょっぴり救われた。
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作者名：あまなのよし。
| 作成日時：2020年12月25日 0時
