開幕。 ページ45
・No side
「加茂さん、アンタら虎杖殺すつもりですか?」
「その通りだ…と言ったら?」
「失敗したんですね。虎杖がこの短時間でやられるわけがない」
「殺す理由がない」
伏黒と加茂が鬩ぎ合い、互いに少しの勝算も譲らない。
「あるでしょ、上や御三家ならいくらでも。
…余程 宮眞先輩に嫌われたいんですね」
伏黒の口から出た言葉が引き金か、加茂は口元に浮かべていた笑みを消し、弓を構えた。
***
『…わ、何今の音』
「高菜?」
『うん…なんか向こうの方から凄い音がして』
それぞれが各自相手校の生徒と猛烈な戦いを繰り広げているとき、棘とAは平和に真面目に呪霊狩りをしていた。
『それにしても、やっぱり3級や4級ばっかりだね〜。あんまり強くても困るけど、簡単に祓えちゃうのもな…』
「しゃけ」
そんなたわいもない会話だが、棘はコロコロ変化するAの表情を見ているだけで幸せだった。
そして自分は相当惚れ込んでいるな、と自覚する。
『あれ?恵くんの玉犬だ、どうしたのかな』
遠くから軽やかに走ってくる玉犬を見て首を傾げた。
近くまで来ると玉犬は口に咥えた何かをAに渡す。
『う、腕…!?もしかしてこれ、メカ丸くんの、』
それは硬い金属製の腕、紛うことなきメカ丸のものだった。
"どうしてこうなっちゃったの…?"と悲痛に満ちた表情でその腕を抱えるA。
その様子を見た玉犬は申し訳なさそうに擦り寄る。
「明太子」
『…それ、スマホ…?」
「しゃけ」
棘がAに見せたのはひとつのスマホ。
"多分、これを届けにきた"
『…そうだったの?ありがとうね…』
Aが撫でてやると玉犬は嬉しそうに尻尾を振った。
『誰にかけるの?』
慣れた手つきでスマホを操作する棘に問いかけると、彼はスマホの画面を見せる。
そこにしっかりと表記された"三輪 霞"の文字に、Aは小さく眉を下げた。
『なんだか罪悪感あるよね…』
この期に及んでそんなものを感じるのは東京京都両校合わせてもAだけだと棘は思ったが、共感の意を込めて頷いた。
≪はい、役立たず三輪です≫
「"眠れ"」
電話の向こうから寝息が聞こえてきたのを確認すると、棘は耳を塞いだままのAに口パクで"終わったよ"と伝えた。
『…メカ丸くん、ごめんね』
申し訳なさそうに、メカ丸の腕をその場に置く。
『あとで京都校の人が取りに来てくれるよね』
「しゃけ」
・
1854人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
快晴(プロフ) - コメント失礼します!伏黒君のお日さま、可愛すぎましたよね!!ずっと記憶に残ってますッ!パンダに顔を埋めてみたい、、っておもいました!(?) (6月2日 20時) (レス) @page42 id: 3fba93f21d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます!ですよね!!早速共感がもらえて嬉しいです!コメント読みながらうん!うん!って頷いてました笑 個人も好きだけどペアも好きにさせるとか罪な男すぎて推しちゃいますよね…!!今のところは夢主に恋愛感情向けさせようと思ってます!! (5月29日 15時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 快晴さん» 三輪ちゃんと夢主のコンビは、髪色とか雰囲気とかの相性が合うように書いてます笑 いい子同士絶対仲良くさせる…!と意気込んでいたのでついにその一歩が踏み出せて嬉しいです…! (5月29日 15時) (レス) @page39 id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - はぁぁぁぁ!?!?幸吉くんのところクソわかるんですけど!!三輪ちゃんと結ばれて欲しいけどあの体で愛されたいジレンマ起こってるのわかりすぎてつらいんですけど!!ありがとうございます!!!! (5月29日 15時) (レス) @page39 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
快晴(プロフ) - 三輪ちゃんと夢主ちゃんのコンビが個人的に可愛すぎます!!次も楽しみです!!!! (5月29日 10時) (レス) @page40 id: 49bca02885 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あわ | 作成日時:2023年5月8日 17時