後輩達を甘やかしたい

ただ会いたかった。 ページ36

・No side


「おまたー！！」


やけに明るい声が聞こえて一同が視線を向けると、そこには何やら大きな箱が乗ったワゴンを押す五条とそんな五条の隣でこちらに手を大きく振りながら歩くAがいた。


_____あの子が噂のAちゃん…！？どうしようすごい可愛い、っていうか絶対良い子！めちゃくちゃ友達になりたい…

と、三輪の脳内はフィーバー状態。


「Aさんおかえりなさい！！」

『野薔薇ちゃん！みんなもただいま！』


物凄い勢いで駆け寄ってくる釘崎を、Aは何とか受け止めた。


「おう！お前が無事で何よりだ」


「それよりA、まずは棘んとこ行ってやれ」

『棘くん…？』


真希の言葉に首を傾げたAの腕を棘が引っ張って抱き寄せる。


『と、棘く_____』

「"動くな"」


そして呪言によりピシッと固まったAの肩に顔を埋めた。


「すじこ、ツナマヨ(めちゃくちゃ寂しかった)…」

『本当？私も棘くんに会えなくて寂しかったよ』


そんなまるでカップルのようなやりとりを見た五条が、面白そうに口を開く。


「いやいや青春だねぇ。来て早々面白いもの見せてもらっちゃった。

ところで私出張で海外に行ってまして… はいお土産、京都の皆様にはとある部族のお守りを。歌姫のはないよ」

「いらねぇよ！！」


「そして東京都のみんなにはコチラ！！」


そう言って箱が乗ったワゴンを前に差し出す。


すると突然その箱が勢いよく開いたかと思えば______


「故人の虎杖悠仁くんでぇーっす！！」

「はい！おっぱっぴー！！」



死んだはずの一年が、それはそれは愉快に登場した。


_____えっ…えーーーー！？全っ然嬉しそうじゃない！！


想像とかけ離れたリアクションに虎杖が戸惑っていると、彼の背後から嗄れた声が飛んでくる。


「宿儺の器！？どういうことだ…」

「楽巌寺学長ー！いやーよかったよかった。
びっくりして死んじゃったらどうしようかと心配しましたよ」

へらり、として近づく五条に京都校学長・楽巌寺は目を鋭くする。

「糞餓鬼が」

そんな圧と威厳たっぷりの声色にも五条は怯むことなく持ち前の呑気さを存分に醸し出していた。


「おい」

「あ、はい」


釘崎が虎杖が入っている箱を強く蹴る。


「何か言うことあんだろ」


そう言う釘崎の瞳には、うっすらと透明な涙が溜まっている。

それに気がついた虎杖も、同級生との再会に目を潤ませた。

「黙っててすんませんでした…」


______虎杖、合流。



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