痛いほどに愛おしい。 ページ33
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どうやら巨大化した勢いで氷を破ったらしい。
どうして、どうやって己の身体を自由自在に変えられるの…?
「Aちゃん、見かけによらず強いんだね」
いつの間にか先の姿に戻った呪霊が、私に顔を近づけてそう言った。
その声にハッとして距離を取ろうとするも、ギュっと腕を掴まれて阻止される。
『っ、離して…!』
「嫌だ。だって離したら逃げるでしょ?」
当たり前、と睨めば呪霊は腰に腕を回してきてさらに距離が近くなる。
身体も密着し、恐怖で全身が小刻みに震える。
「夏油からよく君の話を聞いててさ、順平の一件でピンときたんだよね。あれ、もしかして二人が言ってるのって同一人物?って。
身近な二人が話題に上げる君のことが、ずっと気になってたんだ」
まるで愛おしいものを見ているような蕩けた視線。
あまりの恐怖についに涙が零れた。
それを見た呪霊は、指で私の濡れた頰を拭う。
「…ああごめんね、泣かせるつもりはなかったんだ。
でも、今日君に会ってみんなが君に惹かれる理由が分かったよ」
その言葉が最後まで聞こえたか聞こえなかったかのところで、腹部の傷をグイッと広げられた。
『〜ッ!!』
消えかけていた痛みが目を覚まして私を苦しめる。
_____痛い、痛い、痛い、痛い
だめ、私は彼らを守る最後の盾であらなければ。
「Aさん!!」
この感情は怒りか、恐怖か、憎悪か、それとも____
『領域展開 "
「へぇ、これが…でもいいの?もう体力もギリギリでしょ?」
『…貴方が、早く死んで、くれれば…問題ない、』
息も絶え絶えとはまさにこのこと。
私は呪力も体力も、最後の力を振り絞って呪霊をここに引きずり込んだ。
***
No side
「そんな…Aさん、Aさん!!」
「A先輩…」
校舎の廊下に血塗れで倒れる少女と、それを見て涙を流す少年。
領域の中での決戦の末、Aは敗れた。
「強かったよ、Aちゃん。彼女が疲れて倒れなければ、僕負けてたかも」
真人は傷一つない体で、そんな彼らを見下ろした。
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快晴(プロフ) - コメント失礼します!伏黒君のお日さま、可愛すぎましたよね!!ずっと記憶に残ってますッ!パンダに顔を埋めてみたい、、っておもいました!(?) (6月2日 20時) (レス) @page42 id: 3fba93f21d (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます!ですよね!!早速共感がもらえて嬉しいです!コメント読みながらうん!うん!って頷いてました笑 個人も好きだけどペアも好きにさせるとか罪な男すぎて推しちゃいますよね…!!今のところは夢主に恋愛感情向けさせようと思ってます!! (5月29日 15時) (レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
あわ(プロフ) - 快晴さん» 三輪ちゃんと夢主のコンビは、髪色とか雰囲気とかの相性が合うように書いてます笑 いい子同士絶対仲良くさせる…!と意気込んでいたのでついにその一歩が踏み出せて嬉しいです…! (5月29日 15時) (レス) @page39 id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - はぁぁぁぁ!?!?幸吉くんのところクソわかるんですけど!!三輪ちゃんと結ばれて欲しいけどあの体で愛されたいジレンマ起こってるのわかりすぎてつらいんですけど!!ありがとうございます!!!! (5月29日 15時) (レス) @page39 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
快晴(プロフ) - 三輪ちゃんと夢主ちゃんのコンビが個人的に可愛すぎます!!次も楽しみです!!!! (5月29日 10時) (レス) @page40 id: 49bca02885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あわ | 作成日時:2023年5月8日 17時