後輩達を甘やかしたい

私のせいかもしれない。 ページ27

・順平side



全校生徒が倒れた体育館。


こんなことをしても、僕のこの気持ちは収まらない。


「おい！どうしたお前ら！しっかりしろ！大丈夫か！？」


遅れて入ってきた外村が生徒の一人に駆け寄る。

コイツも、僕の嫌いな人間の一人だ。


「死にはしないよ」

「吉野…なんで…いや、知っているのか？
何が起こっているか…」


全部知ってるよ、僕がいじめられているのを知っていたのに目を背けたことも、Aさんを放課後空き教室に連れ込もうと計画していたことも。


心底、気持ち悪い。



「先生、ちゃんと見ててね」

「お前その傷！それ…！！」



_______これまでのことも、これからのことも。



「吉野…」


ああ、コイツだ。

伊藤翔太、全ての元凶。


「聞きたいことがある。

_____アレ(・・)を家(うち)に置いたの、お前か？」


「？なんの話_____い"っ」


呪力を込める。
今までの恨みや痛みを全部、呪いに換算して。


「なんだよ！！何したテメェ！！」

「なってないな。まだ自分が質問を質問で返せる立場だと思っているのか」


勢いよく倒れこんだ奴の腕は、僕の呪いが蝕んでいた。


体育館の床にシューズの底が擦れる音。

荒い息。


「お前は死ぬんだよ、質問の答えがイエスでもノーでも。

だって僕にお前の嘘を見抜く術はないし、そうされるだけのことをお前はしてきたからね」


______最期くらい誠意を見せてくれ


なんだ、こんなものか。

あれだけ僕に酷いことをしてきたくせに、結局最期に残るのは可愛げのない弱さだけ。


僕はお前を恨むよ。

映像研をめちゃくちゃにしたこと、そのせいで唯一の友達と疎遠になったこと、学校に行けなくなったこと、Aさんに最低なことを言ってしまったこと____


「全部、元はお前のせいだ」


「………ごめ"んな"っ、ざい」


「で？だから？」



その時、ダンと大きな音が反響して扉が開く。


「何してんだよ！順平！！」


虎杖くんだ。
なんで、なんで邪魔するんだよ。



『______順平くん…！！』


「…ッ、！！」



そして、虎杖くんの後を追ってきたのか、肩で息をするAさんも。


心臓が嫌な音を立てた。



……僕をもう、呪わないでくれ。

君にあんな酷いことを言った僕に、その顔、その声で話しかけないでくれ。


「_____引っ込んでろよ、呪術師」


僕の言葉に、Aさんが顔を歪めたのが分かった。




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