後輩達を甘やかしたい

煌びやか。 ページ22

・



「あれ、順平？珍しいね」


河川敷の上の方からそんな声が聞こえそちら見ると、綺麗な女の人が立っていた。


「母さん！」


どうやら順平くんのお母さんらしい。

確かによく見たら似てるかも。



「友達？もしかして、そっちの可愛い子は彼女！？」


「なっ！虎杖くんとはさっき会ったばかり、Aさんはクラスメートだよ！」

「さっき会ったばかりだけど友達になれそーでーす！」

『こんにちは！順平くんのクラスメートです！』



顔を真っ赤にして慌てる順平くんを見て、お母さんは"へぇ〜？"と面白そうに笑った。


「君たち、名前は？」


『宮眞Aです！』

「虎杖悠仁です！お母さん、ネギ似合わないっスね！」

「お、分かる？ネギ似合わない女目指してんの」



そんな二人の愉快な会話を微笑ましく聞いていると、順平くんがお母さんの手からタバコを取った。


「タバコ！やめてって言ってるだろ！」

「はいはい」


きっと、お母さんに自分の体を大切にしてほしいんだろう。

凄く母親思いのいい子だ。



「あ、そうだ。悠仁くんにAちゃん。どう？晩飯食べてかない？」


「ちょっと！迷惑だろ！」

「あ"ぁん？私の飯が迷惑？？」


その時、"晩飯"というワードに反応して私のお腹と悠仁くんのお腹が同時に鳴った。



「嫌いなもんある？アレルギーとか」

「ないっス！」

『私もないです！』



順平くんのお家に行くまでの間、彼と並んで先を歩く二人の背を見つめる。



「ごめんね母さんが…親御さんとか心配してない？」

『私は大丈夫だよ。こちらこそ急にごめんね』



悠仁くんが順平くんのお母さんの荷物を持ってあげている。私の周りは良い子ばっかりだなぁ。

今頃鍛錬を終えて疲れているであろう高専のみんなが思い浮かんで、ふ、と笑みがこぼれる。


と、そんな私の横顔を順平くんがジッと見ていることに気がついた。


『…？どうかした？』

「あ、いや！」



______ただ…その、綺麗だなって。



小さく耳に届いた言葉に、じわりと顔が熱くなるのが分かった。





・

煌びやか。→←煌びやか。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す