08.Week Train ページ8
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随分、年上だった気がする。
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「…大野智、か…。」
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契約書は肌身離さず持っていた方がいい気がして、出勤するときに持っていくカバンに丁寧に押し込んだ。
それからいつも通り駅に向かって、いつも通りの電車に乗り込む。今日は生憎立つしかなかった。
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ゴトンゴトンと揺れる電車内で、スマホを開いてラインを開く。
トーク履歴の最新のところに、智くんという新しい人がいてその人のトプ画はブタ。
…ブタが好きらしい。
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空は青い。雲は遠い。ゆらゆらゆられる電車で、ふと顔を上げて窓の外を眺めれば
そこには一面海が見えて、太陽に照らされてキラキラと反射する海面。
吊り革をぎゅっと掴んだら、運命が変わった気がした。
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検索サイトを開いて、『大野智』で調べる。真っ先に出てきたのは何でも屋のレビューで
タップすると出てきた評判。ほとんどそれは評価が最高レベルで
あの人はどうやら、この業界だとなかなかの腕前らしい。
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(…でも、なんで何でも屋なんだろう)
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思えばそうだ。なんであんな人が何でも屋、なんて。しかも個人営業で。
しかも何でも屋って、どこまでしてくれるんだろう？そういう危ない橋は渡るのだろうか。
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職場につくまでに色々考えたり、いろんな妄想を張り巡らせてみたけどなんだか全部しっくりこなくて
結局、職場の最寄駅に着いたときには「あの人が何をしていたって関係ない」という結論に辿り着いた。
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「おはようございまーす」
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いつも通り出勤して、いつも通りの業務を淡々とこなしていって。
天気がいいと気分もいい。
ふふーんって鼻歌を心の中で歌っていたのに
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和也「Aちゃーん、来ちゃったー」
「お引き取りください」
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来ちゃったってあんたは女子か！
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昨日も来たよね、って舌打ちして従業員たちもクスクス笑って「かわいいねー」なんて言ってる。
かわいい？これが？全く理解できない。
しかもなんか今日スーツなんか着ちゃってるよ。ほら、お客さんたちが嬉々としてこっち見ちゃってるよ。
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和也「ね、返事もらいに来たからとりあえずシャンプーしてよ」
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勘弁してよ。
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