甘い嘘から始めよう【S.O】 (ページ42)

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42.偽善者…side O ページ42

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代役彼氏なんて、もう何回もしてきた役だし。

違うのは名前だけ。何でも屋だからね。名前は偽名を使わないといけない。

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春香『これ、私の彼氏ー』

智『はじめまして、翔です』

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嘘をつかなきゃ生きていけない人もいる。

嘘だって悪いわけじゃない。優しい嘘、甘い嘘、悪い嘘…。嘘にはたくさんの種類がある。

その種類さえ、使い方さえ間違わなきゃ嘘も時には人を幸せにする道具になり得る。

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春香ちゃんの友達。

俺の真向かいに座った女の子が、俺のことをキッと睨んできたことがあった。

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その子はその時、一言も喋んなくて

ただひたすらショートケーキを食べてた。

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智(俺…なんか悪いことしたかなぁ…)

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色々悩んだけど、その帰り道、依頼主にはこれ以上ないってぐらい感謝されたし

ま、いっか。ってそんな軽い気持ちで過ごしてた。…けど

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智『えっと…？』

『どうも』

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その女の子は、ある日俺の目の前に突如現れた。

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『単刀直入に言います』

智『はあ』

『春香のこと、本当に好きなんですか』

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その子の名前は、橋本A。

まだあどけなさが抜けてなくて、大人になりきれてない子供、って感じ。

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連れ出されたのはカノンが流れてる喫茶店。そこで俺はカフェオレ、彼女はレモンティーを頼んだ。

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めんどくせえ、っていうのが俺の本音。

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智『…好きだよ。』

『そうは見えないです』

智『なんで？』

『だって……顔に春香が好きって書いてない』

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あぁ、マセガキの恋愛ごっこか。

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とんだバカだな、ってその時の俺は鼻で笑ってた。

この子は彼氏がいなかったんだな。だからそんなこと言えんだ。

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俺はその子を子供を諭すようにあまーくあまーく、でも鋭く。

もうこんな面倒なことに呼び出さないように。

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智『あのさ、Aちゃん』

『…なんですか』

智『恋も知らないクセにそういうボケた考え、やめてくれるかな。しかもそうやって説教して』

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ニッコリ微笑む。

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智『押し付けがましい、友情っていうやつ』

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