25.「あなたは誰？」 ページ25
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「…しまった…」
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コンビニに着いて思った。
智くんの好きな飲み物がアルコール以外分からない。
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事務所の冷蔵庫には缶ビールと水と、バナナしか入ってないから
まっっったく彼の食の好みがわからない。
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「どうしようかな…」
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炭酸系とか飲むのかな？それとも紅茶系？まさかの栄養ドリンク系統？
悩めば悩むほど答えは簡単に出てくれなくて
悩みに悩んだ末、万人ウケするお茶とカフェオレを買った。
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「ふたつあるし…、どっちかは飲めるよね」
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コンビニを出て、ガサ…と袋の中を見つめてひとり、ぼそり。
コツコツ、と少し暑い日差しの下、アスファルトと大合唱。
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智くん帰ってきてるかな……。
本当、どこ行ったんだろう。
まさか智くんもコンビニとか？ありえる。あの人自由奔放だしなー。
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二宮さんとは反対に、智くんのことを考えていると自然と笑顔が溢れる。
くふふ、と笑いながらさっき辿ってきた道を戻っていく。
やがて事務所が入っている雑居ビルが見えてきた…と思った矢先。
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不意に目線に入る、姿。
遠くにいるのに、すぐに分かってしまうひと。
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私とは正反対の方向から歩いてくる人。
それはどこからどう見たって、智くんで
分かった瞬間に胸がひとりで踊りだす。なんだやっぱり近くにいたんじゃん。
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キョロキョロと辺りを見渡して、人がいないことを確認すると
息をすぅ…っと吸って、両手を広げてぶんぶん振って「さとしくーん」って言おうとした。
…した。
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「…え？」
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無意識に私の足が早くなる。
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ひとりだと思ってたら、智くんの後ろに隠れてた背が低い可愛らしい女の人。
私も、智くんたちも事務所に近づいて
私は物陰に隠れて、ひっそりと二人を見る。二人は事務所の前で「じゃあまた」と別れを告げる。
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＊「今日はありがとう」
智「いや？俺も楽しかったし」
＊「…本当に、ありがとう」
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＊「じゃあね、かずなりくん」
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ーーーー…息が。
世界が。
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「………は？」
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止まった。
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