タイトルＡ (ページ5)

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五話ページ5

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気にしないようにしていたのだ。私は大丈夫、上手くやれると。

「お前、泣くの」

彼、ユンギ先輩がこんなことを言ったのは、私が酷い顔をしていたからだろう。自覚はあった。鮮明に思い出せるくらいには頭から焼き付いて離れないのだ。気にしないなんて、無理だった。

「......別に泣かせようと思ったわけじゃないんだけど」

いつの間にか泣いていたらしい。頬に涙が伝うのを久しぶりに感じた。

『ごめん、なさい...』

学部が一緒の先輩だった。接点はあまりないけれど怖いひとだと思っていた。だから意外だった。お前悪くないんじゃないの。と、言ったのだ。彼は。

どうして知ってるのかとか、どうしてそんな言葉が出てくるのかとか、色々考えてみたけれど答えなんて見つかるはずなかった。

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あれだ、優しくされると余計涙が溢れ出てくるやつ。あの状態になってしまったのだ。

「端からみたら俺が泣かせてるみたいだな」

あのときのジミン先輩みたいに優しく笑ったのがわかった。そんな風に言うのに何処かへ行こうとはしないのだ。

それからは何を言うでもなく、ただ、私が泣き止むまで隣で座ってた。