兄の心妹知らず ページ37
「はぁ、魔法帝、引き止めておいてなんですけど…もう帰ってもいいですか？お兄様に心配かけてしまうので…」
魔法帝からの質問攻めにある程度答えたあとでそう言う。自然とため息が出てしまった。
「あ、それならもう伝えてあるよ」
「は？」
ため息もすぐに引っ込んだ。
言わないでおこうと思っていたことを、私ではなく魔法帝から聞かされたとなると…
これは、帰ったらお説教だな……
「とにかく…、私はこれで…」
魔法帝と別れた私は、重い足取りで自身の拠点へと帰るのであった。
ーーーーー…
「只今戻りました…」
ノックをしてお兄様の執務室のドアからそっと顔を覗かせる。
そこには新入団員たちの対応を終えたお兄様がいた。
「あの〜…今日の件なんですが…」
「魔法帝から聞いたぞ。」
静かに怒ってるのがひしひしと伝わってくる。
「…何かあれば相談するように言ったはずだが？」
「う…」
たしかに前回の団長会議の後、魔法帝に『責任者と言っても特に何もしなくていいからね！』なんて言われておかしいとは思った。
その直後に回復魔道士から『実践が始まるまでは自由に過ごす』と連絡があった時に何かあるという事には早い段階で気付いていた。
お兄様からすればその時点で、なにかしらの相談をして欲しかったのだろう。
「すみません…確信が、なかったもので…」
だがこの時点では私の勘でしかなかった。
それをお兄様に態々伝えて無駄な心配をかけたくはなかった。
……結果的には心配させてしまったのだが。
「はぁ…A」
お兄様はため息をついて立ち上がり、私に歩み寄る。
「私は、そんなに頼りない兄か…？」
「え？」
次の瞬間、私はお兄様の腕の中にいた。
顔は見られなかったが、とても切ない声に年甲斐もなく泣きそうになってしまう。
「相手はキーラ家の人間だったと聞いた。王族の中には、未だにお前のことをよく思わない連中もいる…」
昔に比べれば少なくなったが、そういう人が居るのは事実だ。
「お前は確かに強い…魔法も、心も。だがやはり私にとっては何時まで経っても可愛い妹なのだ…」
ぐっと、私を抱く手に力が込められる。
最後にこうしてお兄様に抱きしめられたのは何時だったか…
トクトクという心音が聞こえお兄様の匂いに包まれる。
心地よい暖かさを感じて、緊張の糸が切れたのか自然と涙が零れた。
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ふーじー。(プロフ) - コメント下さった方々、ありがとうございます！続編の方もよろしければお願いします( ´ ` ) (2020年10月21日 21時) (
レス) id: 594ed5f1a0 (このIDを非表示/違反報告)
メガネコ(プロフ) - こんにちは！！とっても面白くて素敵なお話だと思いました！！ これからも、更新楽しみに待たせていただきますね！！ (2020年10月15日 14時) (レス) id: acba606f80 (このIDを非表示/違反報告)
MAER - 面白いです!更新頑張って下さい､､! (2020年10月12日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
ふーじー。(プロフ) - コメントくださった方ありがとうございます！嬉しいです！これからも頑張ります…！ (2020年10月8日 19時) (レス) id: e1e44de3d6 (このIDを非表示/違反報告)
ミノル - 悩むフエゴレオンさんが、可愛い！！サイコーです！嗚呼、マジ尊い、、更新ありがとうございます！！ (2020年10月7日 18時) (レス) id: 6c7edba7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふーじー。 | 作成日時：2020年9月30日 0時
