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魔界6日目 ページ8

「おい、なんかいい匂いしねぇか?」

「そうか?」




ここは悪魔学校・バビルス、入学式場。



「『(絶対に目立たないようにしよう…!)』」



人間の私たちは、2人の大柄な悪魔に挟まれて、恐ろしい会話を聞きながら縮こまっています。




「同じクラスになれるといいねー」


そんな普通な会話もあるにはあるのですが、なにせ両隣りが厳つい。


入間くんなんてもう泣きそうな顔をしている。



「一同起立、校歌斉唱!」




2人の学校生活の指針が定まったところで、式が始まりアナウンスが入る。

それに従って周りが一斉に立ち上がったので私達も慌てて合わせる。



悪魔なのにちゃんと言うこと聞くんだな…


思ってたよりみんな真面目なのかも?


そんな思いは、"真面目に"校歌を歌う彼らの声にかき消された。

色んな意味で。




《人間 丸々 我らの食いもの

魂血と肉残さず啜れ》




あぁ、やっぱ駄目なやつだ




軽快な伴奏と合ってない歌詞に、ここは悪魔の学校なのだと思い知らされる。

私と入間くんは抗うことをやめ、空気になる事に全力を注いだ。





「続きまして、理事長 挨拶」





恐ろしい校歌斉唱を終えて席に座り、場違い感を否めずにいる私たちに聞き覚えのある声が届く。



「入間くーん!Aちゃーん!
おじいちゃんだよー!!」




「『理事長だったー!!』」




壇上からブンブンと手を振り笑顔で呼びかけるおじいちゃん(理事長)に私と入間くんは思わず盛大なツッコミを入れてしまい、はっと口を塞いだ。



「職場だったんだ…!」

『どうりで入学させたがってた訳だ…』



2人でヒソヒソと話している間にもおじいちゃんの挨拶(?)は進む。




「実は孫が2人、入学しましてね。
これがもう可愛くて可愛くて…」




「目立っちゃう…!」

『お願いだから変なこと言わないで…!』



そんな私たちの願いは次の瞬間、儚く消える。




「そんな孫と撮った1枚がこれです!」



拡大写真(ポスター)!!」

『ぐ、即顔バレした…!』



大きく引き伸ばされたソレを恨めしげに睨む私と、顔を両手で覆い隠す入間くんに、周りの生徒の注目が集まる。



「よし、言いたいこといったから、終わり!」


「(結局 孫自慢だけして帰っていった…
というか、ポスターおいていかないで!
持って帰って!!)」




挨拶らしい言葉はひとつも発する事無く帰っていくサリバンに心の中で叫ぶ入間くんであった……

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(´・ω・`) - こんにちは。初めて見たのですがキャラとの距離感たまりません。時間があるとき更新してくれると嬉しいです。応援しています! (2020年5月14日 16時) (レス) id: 8cd34875f0 (このIDを非表示/違反報告)
まそっぷ(プロフ) - キャラとの距離感が好きです ファイッ (2020年4月29日 1時) (レス) id: 2db0c0705d (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - すごく面白くて続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2020年4月7日 17時) (レス) id: 8a8ffa0991 (このIDを非表示/違反報告)
ふーじー。(プロフ) - さゆゆ☆さん» 初めまして!コメントありがとうございます!私はカルエゴ先生ですね!アズくんもこれから活躍する予定ですので、どうぞお楽しみに! (2020年4月6日 1時) (レス) id: fddd5c4c33 (このIDを非表示/違反報告)
さゆゆ☆ - すごく面白かったです!私はアズくん推しなんですけど、ふーじー。さんは誰推しですか? (2020年4月4日 6時) (レス) id: ac463600dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふーじー。 | 作成日時:2020年3月25日 1時

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