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A視点
gr「呪いを解くために旅をすることは本当か?」
笑顔のままの総統が僕の顔の前まで迫る。
あまりに急な出来事で驚いたのか、バランスを崩し後ろのベッドへ倒れこむ。
あ、そういえば証明のために立っていたななんて
漠然と考えていたら、何かに当たったのか鈍い音がして体が止まった。
やっと口が開ける。
「えっと、その問いに関しては事実ですね。驚いたのか、なぜかわかりませんけど
倒れてしまってすみません、総統陛下。それg「「ちょっと待って??」」え、はい。」
sn「...倒れた拍子に頭打ってるの。処置するから、そのあとお話しよう。」
「...?あぁ、体の傾きがとまったのは頭を打っていたからなんですね。なるほど。」
しょうがない、これはこの身に起きている事実なんだから。
視界にはいらないと、音が聞こえないと、なにも把握できないんだから。
だから、
「そんなに苦しそうなお顔をされても、困るのですが。皆様。」
どうしてそこまで、素知らぬものに、泣きそうな、苦しそうな顔をむけられるのだろう。
「痛覚がありませんので、ご心配なさらなくとも僕は平気ですよ。」
sn「ダメ。怪我をしたら安静に。治るまではここにいて。グルッペンも!!
驚かせてこうなったんだから、ちゃんと謝って。」
gr「...勿論だ。申し訳ない。驚かせるつもりはなかったんだ。」
「...いえ、別に。お気になさらず。いつものことですから。」
素直な方だと思う。
それは素敵で、そしてあの笑顔も。
あのカリスマに溢れた、子供のように無邪気な、そんな方だから
きっとこの国の総統なのだろうと、そんなふうに思う。
あぁ、でも安静か。
「安静、ですか。嫌いな言葉です。そうやって、たとえ健康になっても
過保護に、不要に扱うのでしょう。
どうして、要らないと突き放したものを押し付けるのですか。
安静は退屈で、ずっと、孤独で、つまらないのに。」
あぁ、嫌な記憶が蘇ってくる。苦痛でしかないあの空間を、
そんな世界を思い出してしまう。
その苦痛の愚痴をこぼしてしまうほど、僕は疲れていたらしい。
ふと、意識が落ちた。
焦るしんさんとゾムさんと総統陛下の声がした気がする。
そういや頭から血が流れてるんだっけな、
それのせいか。
回らない思考を捨てて、僕はまた眠りについた。
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