【d!】無痛覚傷年 (ページ3)

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××視点

物語に出てくる人物は、必ず幸せになる。

それはどの物語でも一緒だった。

最初から、圧倒的平和に囲まれた世界は勿論

俺と同じ状況の人間でも、救いを得られる。

戦争で友人を失ったりしない。

家族も無くさない。

彼が反物質なら、そちらが優位になる。

日常的に神に祈りを捧げる俺らよりずっと幸せ。

小さい頃から読んでいて、それだけが不思議だった。

特別な彼らが憎らしかった。恨めしかった。

抱える痛みも、写す世界も、表情も。

｢本当に神様がいるなら、俺を。

その世界の登場人物にしてよ。｣

燃える戦場、訓練が充分に受けられていない兵士、

下級国民。

装備もボロボロ、気休め程度。

国王に、貴族に、人と思われてない道具。

逆らえば簡単に切り捨てられる世界。

どうして、こんな理不尽が許されるのか。

刹那、胸をつきぬける刃。

笑う、上司とも呼びたくない存在。

許さない、赦さない。

赤く染る空、地面に沈む体。

長い、眠りにつく。二度と目の覚めない。

暗転、降下。

??｢平和になればいいのかい?

ハッピーエンドならいいのかい?

じゃあ、これならどう?

君は幸せだ!!｣

上昇、開幕。

素知らぬ声が脳に響いた。

でも、そんなことどうでもいいくらいに幸せだ。

友人がいて、家族がいて、戦いと無縁の世界。

俺の望んだハッピーエンド。

だからこれで、めでたしめでたし。

俺はね。

閉幕。