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A視点
ほぼ一方的ではなかっただろうか。
いや確実に一方的だった。
多分、情報が多くて少し整理をしているんだろう。
無言の時間が進む。
あぁそうだ。これも一つ言っておかなければ。
「ゾムさん、初めてお会いした時にお伝えしましたが、僕どうなってもいいですよ。」
zm「...そうか。わかった。とりあえずみんなで話してくるわ。ありがとな、教えてくれて。
本、ここに置いておくから、よかったら読んどき。」
「はい、ありがとうございます。いってらっしゃいませ。」
なにか思い当たる節があるのか、目を伏せて考えていたゾムさんに
一言伝えると、彼は静かに目の前からいなくなった。
みんな、が誰を指すのかは知らないけれど。
...あれ、そういえば幹部なんだっけゾムさん。
総統陛下にも会ったよね僕。
本当に、ここからどうなるんだろう。
ここで途切れたくはないから、生を望みはするけれど。
協力するといった言葉を取り消されてもかまわない。
この世界で一人、生きていけるあてはないけど、
本当になんとなく。
ただ漠然と、この世界が心地よいと思っている。
「...この世界。全く知らないはずなんだけどなぁ。」
本来この世界で生まれるはずだったのかも、だなんて
普段しないような夢を考えて。
あぁ、馬鹿らしいやと思考を捨てる。
とりあえず、何も知らないこの世界の情報を得るために
ゾムさんが持ってきてくれた本を手に取って読み始める。
もしかしたら、エミさんという方は本選びの天才かもしれない。
そう思うほど、僕の知りたいこと、好みに合った本だった。
この世界の歴史や今の社会情勢をわかりやすく書いた本。
刀に関する雑学。
神様によるいたずら話。
久しぶりに本を読むことに集中していた。
暇を潰すものではなく、ただただ楽しいことだったと。
思い出すことができた。
ただ少し難点だったのは、わからない言葉があったこと。
これは辞書も欲しいな、なんて思って。
ふと、気が付いた。
これは日本語ではない。
かといって英語でもない。
この世界独自の言葉だ。
...なぜ?
ここまで読み進めてなぜ気が付かなかった?
元から知っていたかのように、受け入れた言語。
呪いを解くために旅をする、というよりかは
「この身に何が起きたのか、知るところからかもしれないや。」
読み終えた本をサイドテーブルに積んで、
ふわりと入ってきた風の合図で。
また眠りについた。
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