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A視点
この世界に来て二回目の気絶。
からの起床。
未だこの世界も、あの声も、夢なんじゃないかなって思う。
僕の望んだような夢物語。
あの人たちにとらわれない世界。
これが本当に夢ならば、ずっと覚めないままがいいな、なんて。
現実なら、ずっと大切にしたいな、なんて。
珍しく、前向きだ。
さて、起きた時から何かの気配がするんだけど、これ起きて大丈夫かな。
ちょっと怖いけど、多分なんとかなるだろだなんて、
ふっ、と目を開いた。
天井にゾムさんがいた。
zm「あ、A。起きたん?」
「そう、ですね。たった今、目が冴えたところです。」
zm「...?あぁ、せや。悪い悪い、今そっち下りるわ。」
よっ、と言いながら天井、改めダクトからゾムさんが下りてくる。
そこ通る人なんているんだな、と一つ見分を深めたところで
ベッドの横に来たゾムさんを見て、体を起こす。
その動作に焦ったようで、水平だったベッドのマットを
背中で寄りかかれるように直してくれた。
「わざわざありがとうございます。何か御用でしたか?」
zm「んっ、まぁ用といえば用なんだけど、Aの護衛役しにきたってのが本質やな。」
「ほぉ、護衛?ですか。見張りではなく?」
zm「はぇ〜、自分で言うん?それ。確かにぺ神から安静にするよう見とけとは言われとるけどな。」
「あぁ...そういえば気絶する前に変なことを口走った気がします。それですか。」
zm「ほぼ正解やね。つまらんのやろ?安静。」
「いい思い出がないもので。」
zm「やろうと思って、話し相手にもなったろかなって。嫌ならエミさん...えっと本好きの奴がいるんやけど、本借りてきたからそれ読んででもええで。」
ただ優しく傍に来て教えてくれた。
...不思議な感覚だ。
幼いころに感じたことがあるような気がする。
考えを押し付けないで、僕を見てくれる。
これが、たとえ偽りだとしても...
この感情はなんだったっけ。
自分に感じる暖かさは、多分。
「嬉しさ?」
zm「...なんで疑問形?ま、でも嬉しいならよかったわ!
俺、Aのこと知らんし...目冴えちゃったんやろ?
教えてや。君のこと。」
嬉しさ、あぁそっかこんな感情だった。
相も変わらず表情は動かせないけど、一歩進んだようだった。
「もちろん、僕でよければお話ししましょう。」
ニヒヒと笑うゾムさんは月明かりに照らされて綺麗だった。
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