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俺はこのままでも別に大丈夫なんだけど、俺よりも身長の高い阿部はどうしても背中が丸くなってしまうから、体を痛めかねない。この提案で俺の言いたいことが分かったのか抱き締めたままの状態でソファに移動させられる。
「ぐる、ぐる……きもちわるい、ゃだ、」
譫言のように呟かれる言葉は、重力のままに落ちていく。
いつもなら彼の周りをふわふわと漂っているはずの優しい雰囲気は姿をなくしていて、どんよりとした雰囲気がこの場を支配してやまない。
「大丈夫、何処にも行ったりなんてしないから、大丈夫だから。」
繰り返し落とす言葉は、誰の為だろうか。
俺を抱き締めながら小さく蹲る阿部越しに見るお粥は、小さく湯気を立ててそのまま冷えていく。あぁ、勿体ない。けどまぁ、どうせ君は「冷えても美味しいや。舘さんはやっぱり凄いね」なんて言ってみせるんだろう。同時に浮かべられる微笑みに、今のポジションは俺だけでいいと思ってしまうんだ。
冷えていくお粥に比例するかのように阿部の力は強くなっていく。握られている俺の手はさぞ白い事だろう。でも、それでもいいと思えるのは、なんでだろうか。
甘えと主張 fin.
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リクエスト作品です。
文字数管理が難しいですね……。
またTwitterの方でネタツイ祭りやってます。
是非リクエストください🙌🏻
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作者名:あませさん | 作成日時:2023年8月21日 19時