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みんなと、笑いあっていたから。
「え！？いいの？やったぁ！久しぶりに舘様のご飯食べたい！」
「ふふ、いいよ。何食べたい？」
この後阿部は何も予定は無いはずだからと、声をかければ案の定。でも、嬉しそうに笑って少し大袈裟なリアクションを取る阿部にやっぱり、違和感。
皆は察してくれているのか、遠巻きに微笑みながら俺達の会話を眺めている。
皆と別れた後に阿部の車の助手席に乗り込んだ。
「舘様のご飯なんて久しぶりだなぁ……楽しみ。」
嬉しそうな笑みを浮かべながら車を容易く操作する姿は格好良いもので。ブレーキもあの頃から時がたっているから、ヒヤリとすることも殆ど無かった。
そこから会話などは無く、俺の落ちる心情とは反対に「HELLO HELLO〜♪」とアップテンポな明るい音が流れ続けていた。軽く歌いながらハンドルをきる阿部の横顔になんだか画面越しで見ている気分になって少しのむず痒さを感じてしまう
「おじゃましまーす」
玄関を開けて先に阿部を通す。
鍵をかけてから先にリビングに向かった阿部を追って自分もリビングへ向かう。
リビングに繋がる扉を開ければ、電気も付けずに突っ立っている阿部がいた。
「阿部」
声をかければ、ゆっくりと俺を見る阿部。
さっきまでその顔に貼り付いていたはずの笑顔は無く、ぐちゃぐちゃな感情の灯った瞳が顔をのぞかせた。
「だてさん、……ごはん」
「ん、何食べたい？」
「おかゆ、」小さく呟かれた言葉に今すぐに抱きしめて安心させたい衝動に駆られる。でも多分、君が求めているのはまだそれじゃないと思うから。
お粥を作っている間、阿部はソファの上で小さくなって窓の外を眺めていた。
「阿部、ご飯出来たよ。」
酷く弱く見えるその背中にそう告れば、ゆっくりとした動きでこちらに近ずいてくる阿部。
いつもなら直ぐに立ち上がって「舘さんのご飯〜」と嬉しそうに椅子に座ってくれるのだが。どうやら、今日はいつも通りとは行かないらしい。
いや、普段の彼と比べるのはあまりにも酷な話だな。
「大丈夫だよ、大丈夫。」
立ち上がった阿部はテーブルに向かったと思いきや俺がエプロンを外した瞬間にふらふらと俺の方に近づいてきてその大きな身長にしては華奢な体で俺を包み込んだ。
その背中に腕を回せば耳元で囁かれる苦しそうな「やだ」の声。
「阿部、とりあえずソファ行こ？このまんまだと疲れちゃうでしょ」
もうご飯は食べられないだろう。そう思って諦めてソファに行こうとする。
＿＿＿＿→←●甘えと主張 ab × dt ( dt ab )
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作者名：あませさん | 作成日時：2023年8月21日 19時
